日本企業がエンジニア採用に失敗する当然の理由 ITエンジニアの適切な年収をわかってない

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しかし、エンジニアの人々は、1つの会社に長くいたいわけではありません。優秀なエンジニアにとって、最大の仕事のモチベーションは自分のやりたい仕事をやることです。仮に自分のやりたいことができなくなったり、自分が関わっているプロジェクトが終了したりすれば、次の職場を探します。こうした考えを持つエンジニアの間では、「スキルの高低にかかわらず、10年間その会社で我慢すれば年収が高くなる」というような従来の年功序列の気風が根強い会社は敬遠されます。

もちろん年功序列的な給与制度のある会社であっても入社するエンジニアはいますが、その場合は「自分の技術で世の中に革新を起こしたい!」という積極的な野心を持ったエンジニアというよりは、「技術を追求するよりは、落ち着いて仕事をしたい」というタイプである可能性が高くなります。

どちらのタイプのエンジニアを求めているのかは、社内でしっかり議論するべきでしょう。

適正な年収をどう見極めるのか

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適正な年収に関しては、エンジニア特化型のスカウト媒体である「転職ドラフト」を使うとより明確にすることができます。転職ドラフトでは、名前の通り野球のドラフト会議のように、一人のエンジニアに対して複数の企業がオファーをかけます。

そのオファーの年収が公開されているため、どの会社がどのくらいの年収を提示しているのか可視化されています。採用担当だけではスキルに対する適正な金額を設定しづらいかと思うので、現場の責任者クラスのエンジニアを早い段階で巻き込んだほうが良いでしょう。現場の知見によって、適切なアプローチを行えるはずです。

中島 大志 VOLLECT代表取締役
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