JX日鉱日石エネの製油所操業再開は鹿島が今年夏、仙台は来年夏まで時間要す【震災関連速報】

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JX日鉱日石エネの製油所操業再開は鹿島が今年夏、仙台は来年夏まで時間要す【震災関連速報】

JXホールディングス傘下のJX日鉱日石エネルギーは4月1日、東日本大震災で被災した仙台、鹿島製油所の復旧に関して、操業再開は鹿島が今年夏、より被害の大きな仙台製油所は来年夏まで時間を要することを明らかにした。大手元売り5社のトップが出席した共同記者会見の席上、同社の木村康社長が説明した。製油所の具体的な被害総額については、「現場をもっと精査しないとわからない」(木村社長)と述べた。

同社は、新日本石油とジャパンエナジーが昨年統合して発足した石油精製販売の国内最大手。今回の大地震よって、仙台製油所(仙台市宮城野区港)と鹿島製油所(茨城県神栖市東和田=写真、3月下旬撮影)、根岸製油所(横浜市磯子区鳳町)が操業を停止。このうち、根岸は3月21日に操業を再開したが、設備等に大きな被害を受けた仙台と鹿島は現在も操業停止状態にある。

子会社の鹿島石油が操業する鹿島製油所は、原油タンカーを受け入れる桟橋をはじめとする入出荷設備が地震と津波で損傷し、生産設備も地震による被害を受けた。操業を再開するにはこうした港湾・生産設備の修復と細かな安全確認作業が必要で、操業再開は今年夏になる見通しだ。

震源地に近い仙台製油所の被害状況はより深刻だ。地震による一次被害に加え、津波で製油所も冠水した。木村社長は「仙台製油所は被害が大きく、生産を再開するまで1年単位の話にならざるを得ない」と説明したうえで、「来年夏までには操業を再開できるよう全力を尽くす」と述べた。生産再開には時間を要するため、入出荷設備の修復を最優先し、今年夏までに製品の貯蔵・物流拠点としての機能を取り戻したいという。

仙台製油所(原油精製処理能力は日量14.5万バレル)は業界全体で見ても東北地方にある唯一の製油所で、JXの東北地方への供給量の3割を担ってきた。また、鹿島(同25万バレル)も関東・東北への供給を担う製油所だ。両製油所の操業停止を受け、JXでは他地域にある自社製油所からの転送や石油製品の緊急輸入、石油元売り他社からの製品購入などにより、東日本における供給不足の穴埋めを急いでいる。
(渡辺 清治 =東洋経済オンライン)

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