一方で、終点近くのエリアも注目を集めているようだ。不動産情報サービス「LIFULL(ライフル)」の調査によると、直近1年の同線沿線の中古戸建て住宅価格相場(築10年、建物⾯積100平方メートルの場合)で上昇率がトップだったのは、終点の橋本より2つ手前の賀茂駅。2090万円から2352万円へ12.51%上昇した。2番目は終点より4つ手前の梅林駅で10.69%上昇。どちらも福岡県全域の上昇率5.82%と比べて伸び率が高い。
賀茂、梅林は、延伸開業前は博多まで乗り換えを含めて35~40分程度かかったエリア。延伸によって所要時間は両駅とも20分台前半に短縮された。LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)総研の中⼭登志朗チーフアナリストは、「交通利便性にやや劣るためもともと物件が安かった地域だが、利便性が向上しても依然として安価なため注目され、延伸効果が発揮されやすい地域」と説明する。
中山氏は「今は期待値が上回っている部分はあるが、開発余地のある七隈線沿線の将来性は高い」といい、これまで利便性の高さと割安感で人気のあった西鉄天神大牟田線沿線と競合する可能性も指摘する。都心部の2km足らずの延伸が、七隈線沿線以外も含めた郊外の姿を変えていく可能性もありそうだ。
期待通りの効果を生むか
福岡市交通局は今回の延伸区間である天神南―博多間の利用者数について、需要の定着後は1日当たり約8万2000人を見込む。このうち約2万3000人はマイカー利用などから移行する新規利用者の想定だ。
福岡市地下鉄七隈線・天神南―博多間開業
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延伸開業の日、出発を待つ一番列車
=2023年3月27日5時(記者撮影)
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博多駅ホームで開いた一番列車出発式
=2023年3月27日5時23分(記者撮影)
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博多駅の駅名標。福岡市地下鉄は駅ごとに
異なるシンボルマークがある(記者撮影)
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開業日前日、博多駅に到着する試運転列車
=2023年3月26日(記者撮影)
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開業日前日の博多駅ホーム
=2023年3月26日(記者撮影)
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博多駅の券売機と運賃表。上の緑色の線が七隈線だ
(記者撮影)
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博多駅ホームにある「福博連理」の銘板
(記者撮影)
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新たに開業した櫛田神社前駅の入り口
(記者撮影)
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櫛田神社前駅の改札付近
(記者撮影)
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壁面には博多祇園山笠を描いた装飾がある
(記者撮影)
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博多祇園山笠を描いた壁面の装飾
(記者撮影)
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街の歴史を表現したデザインが各部に見られる
(記者撮影)
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通路壁面には伝統工芸品を展示したコーナーも
(記者撮影)
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通路壁面に展示された博多人形などの伝統工芸品
(記者撮影)
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通路壁面に展示された博多人形などの伝統工芸品
(記者撮影)
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街の歴史を表現したデザインが各部に見られる
(記者撮影)
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街の歴史を表現したデザインが各部に見られる
(記者撮影)
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街の歴史を表現したデザインが各部に見られる
(記者撮影)
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櫛田神社前駅のホーム
(記者撮影)
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櫛田神社前駅の駅名標
(記者撮影)
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櫛田神社前駅に到着した試運転列車
=2023年3月26日(記者撮影)
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延伸に備えて導入された新車両の3000A系
(記者撮影)
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3000A系は窓の周りが水色の塗装だ
(記者撮影)
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櫛田神社前から天神南方面へ続くトンネル
(記者撮影)
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近年急速に開発が進んだ六本松駅付近
(記者撮影)
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延伸開業で六本松駅から博多までは12分になった
(記者撮影)
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福岡大学最寄り駅の福大前駅
(記者撮影)
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野芥駅から博多までは24分になった
(記者撮影)
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福岡市西南部郊外の賀茂駅
(記者撮影)
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2016年に博多駅前で起きた陥没事故現場付近。
約1週間で埋め戻された=2016年12月(記者撮影)
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全国の政令指定都市の中で人口増加率トップを誇り、「元気のある都市」とされる福岡市。地下鉄の利用者数も、2019年度には1日当たり約47万3000人と過去最高を記録した。だが、コロナ禍の影響によって翌2020年度には約30万3000人に激減。その後は回復が進みつつあるが、2023年度も約40万人にとどまる見通しだ。延伸開業による効果をいかに利用者増に結び付けていけるかが課題となる。
市の西南部と中心部を結ぶ足として2005年に開業してから約18年、ついに博多へと達した七隈線。街にどれだけのインパクトをもたらすことができるか、「本領発揮」の時はこれからだ。
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おさの かげとし / Kagetoshi Osano
1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。
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