新型に「カングーらしさ」は残っているのか? 試乗でわかった「ルノーの流儀」の一貫性

✎ 1〜 ✎ 60 ✎ 61 ✎ 62 ✎ 最新
拡大
縮小

先代の途中で4速ATに代えて投入された6速EDC(新型は7速)は、わが国の2ペダル需要が多いことを踏まえて、世界に先駆けて日本にまず導入されたものであった。

新型カングーの価格は、ゼンが384万円、クレアティフとインテンスは同価格で、ガソリンが395万円、ディーゼルが419万円だ。先代はゼンEDCが264.7万円、リミテッドディーゼルMTが282万円だったので、100万円以上値上げしたことになる。

先代カングー リミテッドディーゼル(写真:ルノー・ジャポン)

新型はADAS(先進運転支援システム)が最新レベルにまで進化し、ACC(アダプティブクルーズコントロール)などが付いたうえに、オートエアコンがデュアルになるなど快適装備もレベルアップした。

しかし、モデルチェンジで100万円以上の値上げというのは、あまり例がない。筆者も350万円ぐらいかと予想していたので、インポーターに聞いてみた。すると、返ってきた答えは「フランスからはもっと上の数字を望まれた中、ギリギリまで抑え込んだ」というものだった。

バンの廉価モデルでも先代ゼンを上回る

試乗会から戻ってフランスでの価格を見てみると、新型はたしかに高い。インテンスと同等の装備を持つ「テクノ」のEDCで、ガソリンが31,000ユーロ、ディーゼルが31,900ユーロだ。1ユーロ140円で計算すると、ガソリンは434万円、ディーゼルは446.6万円になる。

現地では、乗用車仕様と商用車仕様のバンの価格差が大きいことも発見した。同じエンジン、トランスミッションの商用車は、ガソリンが25,700ユーロ、ディーゼルが26,300ユーロであり、さきほどのレートで計算するとガソリンで359.8万円に収まる。

新型は、欧州では廉価版となる「エクスプレス」も用意され、フランスではバンのみ両方が売られる。

欧州仕様のエクステリアバン(写真:RENAULT)

MTのみでエンジンも最高出力の低い仕様しかないが、参考までに価格を紹介すると、もっとも安いガソリンが20,200ユーロで、日本円に換算すると282.8万円。バンの廉価モデルであっても、先代のゼンを上回っているのである。

昨今の円安も影響しているが、欧州車の価格が全般的に上昇しており、その中でも新型カングー乗用車仕様の上級移行が顕著であることが、おわかりいただけたのではないだろうか。

実車に接してみると、たしかに先代と比べて格段にクオリティが向上していて、プライスアップが実感できた。

次ページルノー車に共通するインテリア
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT