仙台フィルが「音楽の力による復興センター」を立ち上げ

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被災地の復興に向け、プロの演奏家が音楽で貢献していく取り組みが始まった。

3月28日、宮城県仙台市に本拠を置くプロオーケストラの仙台フィルハーモニー管弦楽団は、「音楽の力による復興センター」事業を立ち上げた。楽団員が被災地にある避難所や病院を訪問し、クラシック音楽を演奏。犠牲になった人たちを鎮魂すると同時に、被災者には復興に向けた勇気を与えていくプロジェクトだ。

 それに先立つ26日には、震災後初めてのコンサート「鎮魂、そして希望」を宮城野区の見端寺で開催した(写真)。約30人の団員が、バーバーの「弦楽のためのアダージョ」など6曲を演奏し、会場に集まった100人ほどの聴衆に大きな感動を与えた。

こうした演奏会を継続的に行うために立ち上げたのが「音楽の力による復興センター」だ。4月以降は、市内に常設の演奏拠点を置き定期的に演奏会を開催。さらに、県内の病院などへの出張コンサートも行う計画だ。

被災を免れた団員と楽器

地震があった3月11日14時46分、仙台フィルの団員は、その夜に仙台市青年文化センター・コンサートホールで行う演奏会に向けて、舞台上でゲネプロ(最終稽古)の準備をしていた。ゲネプロ開始は15時。貴重な楽器はホール内にあり、団員、楽器とも被災を免れたという。

とはいえ、当然のことながら、6月までの演奏会はすべて中止。そのあとについてもメドが立っていない状況だ。

ふたたび立派なホールで演奏会をできる日までは楽器から離れ、別の形で地元の復興に貢献する選択肢もあったかもしれない。が、音楽にだからこそできることがある、それを今やらなくてどうするのか--そんな楽団員の思いが結集して、「音楽の力による復興センター」が生まれた。

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