「何があった?」ニコラス・ケイジが消えていた訳 B級映画に出演しまくるも劇場公開はされず

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「今の僕にはマントラがある。それは、『僕にキャリアはない。あるのは仕事だけ』。僕は仕事をしている時のほうが良い人間だ。プールサイドでのんびりしながらマイタイやドン・ペリニヨンを飲んでいる男になるつもりはない。映画と映画の間に、それをやったことはある。でも、2日ほどで『もっと健康的な生活をしなきゃ』と思うようになるんだよ。

仕事をしていれば、いつも朝早く起きて、ワークアウトをする。ランニングマシーンで5マイルから8マイルほど走り、ウェイトリフティングをする。ニュースを見て、ペットにごはんをあげて、息子たちに電話をする。(映画の現場にいる時)、僕は精神を集中させている。映画を撮影している時、僕はクリーンな生活を送る。そこは僕にとってとても大事だ」(『The Hollywood Reporter』より)。

多数の映画に出演することで得た良いことはもうひとつあった。現在の妻芝田璃子との出会いだ。しかも、これはちょっと運命的でもある。

ふたりを引き寄せたのは、2021年の『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』。低予算映画『マッド・ダディ』(2018)、『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』(2018)、『カラー・アウト・オブ・スペース -遭遇-』(2019)のプロデューサーらとまたもや組んだこの映画の舞台は、元々の脚本ではメキシコだった。

私生活でも充実

だが、監督に決まった園子温が心筋梗塞を起こし、メキシコまで行くことが難しくなったため、ケイジが『舞台を日本に変更してはどうか』と提案したのだ。芝田は、そのロケ場所である滋賀にいた大勢のエキストラのひとりだったのである。

アメリカと日本という遠距離の中で何度かデートをしたふたりは、2021年2月に結婚。昨年9月には女の子の赤ちゃんが生まれた。ケイジには息子がふたりいるが、女の子は初めてで、とても喜んでいる様子だ。借金は完済したが、健康な生活を保つため、そして何より新しく生まれてきた娘のために、ケイジは今後も意欲的に仕事をしていくのではないだろうか。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

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