【産業天気図・損害保険】カトリーナの影響は限定的。業績2極化で増額余地のある社も

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今2006年3月期の損害保険業界の業績は、2極化の様相を見せつつある。前期は上陸台風が観測史上最多の10個に達し、集中豪雨など自然災害が多発。その結果、ミレア、損保ジャパン、三井住友海上、あいおい、日本興亜、ニッセイ同和、日新火災、富士火災の上場損保8社の自然災害保険金は、総額5404億円に達した。今期は期初計画通り、1095億円への縮小を見込むが、主力の自動車保険の回復度合いに違いが出つつあるのだ。
 回復が鮮明化しているのは損保ジャパン、三井住友海上、あいおい。中でも損保ジャパンは医療保険「Dr.ジャパン」の快走、三井住友海上は前期に買収した英アヴィヴァのアジア損保、台湾・明台産物の買収も効き、増額余地が生じている。
 米国南部に大きな被害をもたらしたハリケーン「カトリーナ」による業績への直接的な影響は、日系企業向け保険など限定的な範囲にとどまる。が、軟化していた再保険料率が上昇に転じるなど、再保険活用に積極的なあいおいや富士火災には、収益の圧迫要因になる危険が出てきている。また中国では、損保ジャパンが先行して現法認可を取得しているが、今度は三井住友海上が日系では初めて自動車車両保険の取り扱い認可を取得するなど、先陣争いが熾烈化している。さらにミレアがインド、台湾などで生保事業のM&Aを、また三井住友海上がきらめき生命でマスミューチュアル生命の一部営業職員の譲り受けを、それぞれ検討するなど、業界をまたいだ再編の行方も要注目だろう。
【岡本享記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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