ストレスは「発散するだけ」では不調が続く理由 「溜まる→発散する」という行動パターンは危険

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さらに食生活の乱れ、特に糖質の摂り過ぎもメンタルに悪影響を及ぼします。情緒不安定、イライラ、ヒステリー、気持ちの落ち込み、集中できない、食後に襲ってくる耐え難い眠気などが代表的なものです。

糖質を食べて血糖値が急上昇すると、脳がドーパミンやセロトニンなどの快楽物質を分泌します。そのため我々は糖質を勢いよく摂ると気分が高揚したり、スッキリした気持ちになったりするのです。しかしその後、膵臓からインスリンが分泌されて血糖値が急降下することで、イライラ、落ち込み、怠さ、眠気などに襲われます。すると「もう一度良い気分になりたい」という気持ちになり、また糖質を求めるようになります。

こうして我々は、糖質を食べてはハイになり、そのあと落ち込んでまた糖質を求めるようになります。これが繰り返されることにより感情のアップダウンが激しくなり、情緒不安定、集中力が続かないなどの症状が出てくるのです。

メンタルの不調を抱える人は多いですが、日常の睡眠や運動、食事の習慣と関係が深いことに気づいていない人が多いのが現状です。ぜひ、ご自分の生活習慣に乱れがないかを見直し、改善できることから取り組んでみてください。

ストレスは「発散」するだけではダメ

あなたは日々のストレスをどうやって解消していますか? お笑い番組を見る? カラオケで歌う? それともひたすら寝る? 溜まったストレスを解消することは確かに大切です。

しかし、「ストレスが溜まる → 発散する」という行動パターン自体が危険な図式であることを理解してください。溜まっていくストレスをたまに発散して「なかったことにする」のは、本当の意味でのストレス「解消」にはなっていません。

どんなにカラオケで熱唱しようと寝倒そうと、ストレスの根本原因がなくならない限り、またストレスは溜まり続けます。週末にストレスを発散したと本人は思っていても、根本的な原因を取り除いていない場合には、表面的に解消した「つもり」になっているだけのケースが多いのです。

例えば、ソリが合わない上司の下で働いていたら、週末にストレスを発散しても月曜日になって出勤すれば、再びストレスの猛威に晒されることになるのです。

日本人は「耐えて忍ぶ」ことが美しいこと・良いこととする風潮がありますが、ストレスが溜まり続けると、身体やメンタルに大きな影響が出てきます。ですから、少しでも心身に変調を感じるなら、そのストレスの根本的な原因を取り除かなくてはなりません。

身体の病気ももちろん怖いですが、過剰なストレスに晒され続けることで「うつ」などの心の病気になることは、なんとか避けたいものです。

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