先輩、VCから上手く資金調達する技教えて下さい 君のビジネスとVC投資との相性を探るコツとは

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すべての小規模ファンドがこの戦略をとるわけではない。ちまたには多くのエンジェル投資家やシード投資家がおり、投資金額は少ないが、彼らも本塁打率で勝負している。

よって、パートナー候補がどんな中心戦略を持つかは、あらかじめ必ず理解しておくことが肝心だ。また、銀行からの負債による資金調達も、このような状況での1つの資金源の可能性としてある。

VCの課すルールの下でプレーしたいかも考える

端的に言えば、どんな場合でも資金源としてVCがふさわしいわけではない。あなたのビジネスにふさわしいツールではないかもしれないのだ。

それはどういうことなのだろうか?

VCも人間であり、彼らのために作られたインセンティブに反応するということだ。そのインセンティブとは要するに(金銭的なインセンティブに要約すれば)、次のようなものだ。

■多くはうまくいかず、少数がファンドの金銭的リターンの大部分を生み出すことを理解して、投資ポートフォリオを作ること。
■そうした巨額のリターンを挙げるビジネスを10年から12年以内に現金化すること。そうすることで、リミテッド・パートナー(LP)に現金を返すことができるし、LPがVCに出資して、新ファンドで再びゲームに参加することが期待できる。

これが、VCのライフサイクルだ。

また、たとえあなたのビジネスが(最終的な市場規模やその他要因から)VCにふさわしいとしても、あなたはVCが課したルールの下でプレーしたいのかどうか、自分で判断する必要がある。

そのルールとは、VCに自社株を分配し、取締役会の支配権やガバナンスをVCとともに握ることであり、「現実の」結婚と同じくらい継続する結婚生活を始めることである(アメリカの平均結婚年数は8年から10年だ……想像はつくだろうが)。

(第2回に続く)

スコット・クポール アンドリーセン・ホロウィッツ マネージング・パートナー

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Scott Kupor

アンドリーセン・ホロウィッツのマネージング・パートナーで、同社の事業運営全般の責任を担う。2009年の設立以来同社に所属し、従業員3人から150人以上へ、運用資産3億ドルから100億ドルを超えるまでになった同社の急成長に貢献した。スタンフォード大学ベンチャー・キャピタル・ディレクターズ・カレッジの共同創設者兼共同ディレクターであり、同校ロースクールでVCとコーポレートガバナンスについて教える。また、カリフォルニア大学バークレー校ハース・スクール・オブ・ビジネス、ボールト・スクール・オブ・ローでも教鞭を執る。

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