横行!「偽物インターンシップ」に気をつけよう 「たった1日」ではただの見学会と変わらない

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それではインターンを受け入れるメリットな何か。松本所長はインターンを受け入れることで「若者の意識を知ることができる」という。最近は20代で起業する人が多く、学生の起業も珍しくない。新綜合渋谷事務所はこうした若い企業の設立登記を行っている。

松本所長は「インターンシップの学生と接しているから、ベンチャー企業の若い経営者の意識を理解できる。もしインターンシップを受け入れていなかったら、20代の若者と話が通じず、設立登記の仕事ができなかったのではないか」と言う。

中村駿さん(左)と松本和江所長

厚生労働省の調査では大卒社員の3割が入社3年以内に離職している。企業と学生のミスマッチを解消しなければ、離職率を下げることはできない。パソナキャリアはミスマッチ解消のために「キャリアインターン」事業を2013年に開始した。

検索項目に必要事項を入れると、条件に合った企業がアップされる。学生は容易にインターンシップの候補企業を見つけることができる。

インターンシップでも賃金が支払われる

また、「キャリアインターン」は時給が支払われるのも特徴だ。いくらインターンが就職に役立つと言っても、まったくバイトをしないでインターンシップを続けるのは経済的に苦しい。しかし、インターンシップ先で給与が支払われるならば、安心して継続することができる。時給1000円以上で検索すれば、高賃金のインターンシップ実施企業がアップされる。

また、I・Uターン就職を考えている学生もいるだろう。しかし、東京や大阪の大学を卒業していきなり地方企業に就職するのは不安が大きいのではないか。パソナキャリアカンパニーの杉目雅之・統括マネージャーは「学生のうちに春・夏休みを利用して地方企業でインターンシップすればいい」と言う。

インターンシップをやったほうが内定率が高いというデータもある。短期間でもやらないよりはいいが、長期間やればもっと内定に近づく。そして、就職した後に現実とのギャップに悩んで離職することが減る。

現在、パソナの「キャリアインターン」に登録しているのは50社だが、パソナは2015年中に100社、2018年中に1000社にすることを目指している。現3年生はもちろん、1~2年生も本物のインターンシップを経験してみてはいかがだろうか。

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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