被災地ボランティアの現実、炊き出しなど支援に奔走する仙台の生鮮食品販売会社社長に聞く【震災関連速報】

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被災地ボランティアの現実、炊き出しなど支援に奔走する仙台の生鮮食品販売会社社長に聞く【震災関連速報】

東日本大震災で被災した仙台市を訪ねた。中心市街地は一見したところ平穏で、JR線が不通であることを除けば、地震の爪あとを探すのが難しいほど。ライフラインもガスを除けば、電気や水道が復旧した地域が多く、生活の不便もかなり解消してきたという。

だが、海岸方面へ1時間も車を走らせると、半壊した瓦礫まみれの街、水没した集落といった、まったく違う厳しい光景に出くわす。

全国8都市で農作物の直売市を開催する「マルシェ・ジャポン・プロジェクト」(農林水産省補助事業)の仙台拠点を運営する生鮮食品販売会社ファミリアの島田昌幸代表取締役は、自身も名取市で被災しながらも、震災直後から宮城県や福島県で炊き出しや物資供給のボランティア活動を組織的に行っている。

被災地の状況や今後の課題を聞いた。

--ご自身も被災されたのですか。

名取市の自宅の近くまで津波がきました。11日の震災から12日までは、避難した公民館で過ごし、13日に出社してすぐ救援本部を立ち上げ、14日から各地へ炊き出しや物資の供給をスタートさせました。それから2週間ずっと出たり入ったりで各地を回っていて、名取市から山本町、亘理町(わたりちょう)、気仙沼、唐桑半島、石巻市、南相馬市(福島県)へも行ってきました。今日(27日)にようやく一息ついたところです(島田氏が社に戻ったのは午後10時)。

--なぜボランティア活動を。

ふだんは(株)舞台ファーム、仙台放送の協力で、東北6県の農村や漁港から仕入れた生鮮品を仮設店舗で直売する「マルシェ・ジャポン・センダイ」を運営しています。この活動も被災後も続けています。一方で、社是が「社会貢献のために利益を生み出す」だったこともあり、震災直後から、食のイベント会社として何か地域に恩返しがしたい、と強烈に思いました。

--具体的にはどんな活動を。

避難所の方々も非常に疲労しているので、まずは自分たちだけで自己完結できる支援を考えました。物資も自分で荷を下ろして、各人に行き渡らせる。炊き出しも試行錯誤の結果、野営方式にしました。コンビニの前や病院の駐車場などを借りて、拡声器で近隣の住人を集める。避難所の方はせいぜい冷たいおにぎり、自宅避難の方々も乾パンなどしか食べていませんから、あったかい豚汁やカレーを作り、1人1日1食ずつでもいいからできる限り配る。前後に自衛隊などの炊き出しがあれば、1日2食支給できることになります。

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