校則に反発した生徒に校長が伝えた「ある一言」 子どもたちが主体となって物事を動かす意味

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どの学校もそうでしょうが、2020年以降のコロナ禍で学校生活は深刻なダメージを受けました。授業の一部はリモートになり、学校行事は中止や延期を余儀なくされました。もちろん、生徒には不満がたまります。ですが、うちの学校では生徒の不満は学校活性化のチャンスです。「不満があれば、自分たちで変えていく」というマインドをもった生徒が大勢いるからです。企画書の嵐が吹きまくりました。校長室には、休み時間、放課後はいつも生徒が集まってきます。さしずめ「第二の保健室」です。

コロナ禍で企画書が飛び交う学校

2020年は千代田では文化祭を中止しましたが、21年には千代田も武蔵野も文化祭を実施しました。私は生徒にけしかけられて「ミニオンズ」の仮装をしました。ミニオンズの着ぐるみを着て、ミニオンズの大好物であるバナナを食べました。生徒に「なおさん、日ごろの感謝の気持ちを表してお土産をもってきました」といって渡されたバナナです。密を避けるために、オンラインを多用した文化祭でしたが、私のミニオンズもオンラインで全校生徒に配信されました。

サマーキャンプをしたいという生徒たちもいました。もちろん生徒には企画書を出してもらいました。コロナでボストンなど海外でのプログラムが実施できず、また、海外から大学生をよぶこともできなかったため、海外への進学が決まっていたり、留学先から一時帰国したりした私の教え子たちに手伝ってもらいました。ファシリテーターとしてワークショップに入ってもらい、自分たちの経験を伝えながら、エッセイやブレストを一緒になって考えてくれました。

また、コロナで体育祭ができなかったので、せめてダンスだけでもやりたいと立ち上がった生徒たちもいました。武蔵野は2020年に共学となりましたが、3年生は伝統的に滝廉太郎の「荒城の月」を踊っていました。しかし、2022年に高校を卒業した生徒はコロナに振り回されて、みんなで何かに打ちこんだという思い出があまりありません。しかも女子校として最後の学年。そこで、生徒たちで意見をまとめ、保護者の見学もできなかったので、生徒会のあまった予算などを活用して、撮影会社に頼んでドローンを飛ばして撮影したカッコいい映像を保護者にも見てもらえるようにしました。

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