「経験もツテもなし」で海外大学に進学する秘訣 海外大学が日本人向けにする「ひっかけの質問」

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多くの大学がペーパー試験だけで合格者を決める日本とはちがい、海外の大学では学力だけではなく、入試段階で学生の資質が問われます。きかれるのは、「他の人とあなたは何がちがうの?」「あなたは、大学や社会にどんな貢献をしてくれるの?」「そもそも、あなたはいっただれなの?」といったことです。つまり、「Who are you?」です。

ですから、そのようなことについてよく考え、自分なりの回答を準備しておくことが重要です。

以上をふまえて、海外に進学したいと思っている高校生がやるべきことは、まずGPA(学校の成績)を上げることです。平均4以上でなければ話になりません。それから、もちろん、英語です。中学3年生なら英検準2級以上、高校1年生なら英検2級、高校2年生ならTOEFLで60点以上をめざしてください。そして課外活動に取り組むことです。生徒会、部活、ボランティア、インターンシップ、自主研究、社会貢献など、課外活動にもいろいろあります。海外の大学の選考では、課外活動は非常に高く評価されます。

海外の大学では、教授との個人的な関係が有力な武器となります。ですから、直接入学をめざす場合も、志望校の志望学部の教授に推薦してもらえれば、合格は近くなります。「エグゼクティブの推薦状」です。志望校の教授のものなら、それ以上有力な推薦状はありません。

本当にアメリカの大学に行きたいなら、大学の教授や入試事務局にメールを送ることをおすすめします。なぜ、自分がその先生の下で学びたいのか、なぜ、その大学に行きたいのかをアピールするのです。

やみくもにメールを送ってもだめです。まずは、自分が興味をもつ分野の大学の先生が書いた論文を読んで、自分が本当に学びたい先生を見つけることです。論文は大学の先生が書くラブレターです。それを読んで感動したり、興味が湧いたり高まったりすれば、それはその先生とあなたの相性がいいということです。そんな先生を見つけ、ラブレター(論文)への返事を書けばいいのです。「先生の論文を読んだ。ここがよかった。先生の下でこんな研究がしてみたい」といったことを書くのです。

いまがチャンス

海外の大学の多くは留学生の受け入れに積極的です。世界大学ランキングには採点項目があり、「多様性」もその一つです。多様性というのは、簡単にいうと、どれだけ多くの国や人種の学生や研究者が集まっているかということです。もちろん、多様な国々から多様な人種の学生を集めている大学が高い評価を得ます。

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とくに、日本の学生は人気です。日本人学生が少ないからです。つまり、いまがチャンスなのです。海外の大学が日本人学生を欲しがっているということは、比較的入学しやすいということです。

私は、だれにでも留学を進めているわけではありません。日本の大学や大学制度にもいいところはあります。向き不向きもあります。

大切なのは、なんのために大学に行くかを考えて、そのうえで、どの大学に、あるいはどの国の大学に挑戦するかを決めることです。

希望があったり興味があったりするのなら、最初から「自分には無理」などと考えずに、可能性を探り、挑戦してみてください。

日野田 直彦 千代田国際中学校校長

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ひのだ なおひこ / Naohiko Hinoda

1977年大阪府生まれ。幼少期をタイで過ごし、帰国後は欧米の最先端の教育に取り組む同志社国際でもまれる。同志社大学卒業後、進学塾、私立中高の新規立ち上げを経て、公立・私立の校長に。36歳で校長になった大阪府立箕面高校では、多数の生徒が海外大学に進学し注目を集める。武蔵野大学中学・高等学校では、9年で5人も校長が交代する倒産寸前の状態からV字回復させ、学校説明会には毎年多くの親子が参加している。現在は学校再建のロールモデルを構築すべく奮闘中。著書『なぜ「偏差値50の公立高校」が世界のトップ大学から注目されるようになったのか!?』(IBCパブリッシング)、『東大よりも世界に近い学校』(TAC出版)。

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