「花まる学習会」は、公教育をどう変えるのか? 大人気塾のメソッドが公立小学校に!

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――それがどうして、算数とつながるのですか?

文章題ができない子がなぜできないかというと、読み方が“適当”だからなのですね。「漫然と読む」から、僕は「漫読」と呼んでいるのですけれど(「精読」の反対)。

おうちで本を読むときのように、ただ楽しんでワーッと読書するときはそれでいいのですが、文章題を解くときというのは集中した読み方をしなければいけません。「精読」をする必要があるのです。

足りないのは、「精聴・精読」の力

「精読」と「漫然」は、読み方として全然違います。自転車に乗るのと1輪車に乗るのと同じくらい、別モノです。

「精読」をできるようにするには、まず「精聴」ができる必要があります。適当に聞いているのではなく、「これから言うことを全部覚えておかなきゃいけない」という聞き方をするのです。そもそも授業を聞くというのは、そういうことなのですけれど。

「この人が言いたいのは、ここだな」というふうに、話の要旨をつかむためには、集中している必要がありますよね。「ああ、今こういうふうに言った」というのを、頭の中で映像化しながら聞かなければいけないわけです。

この「精聴」ができるようになると、文章題もできるようになります。

――なるほど。単に言葉を拾うのではなく、話の中身を頭の中でリアルに思い描く力が必要なわけですね。

そういうことです。たとえば文章題で、「100メートルの道の両側に桜の木を植えました。10メートル置きに1本ずつ、端から端まで植えたら、何本になりますか?」と聞いたとしますね。

問題に出てくる数字は「100」と「10」だけなので、ちゃんと「精聴・精読」ができていない子は「100÷10だから、10本」と答えてしまう。ただ計算ができる子たちって、非常にそういうことが多いのです。実際は、いわゆる植木算でプラス1の11本、かつ「道の両側」だから2倍して22本ですが。

いちばん大事なのは、文章を読んだり聴いたりしたときに、まず映像を思い浮かべて、カッチリと状況を把握することなのですが、それをせずに「出てくる数字で計算だけやりたいな」と発想する。だから、こうなってしまうわけです。

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