愛のある「放置プレイ」が部下を育てる!? 「全責任は自分」という考えは捨てよう

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目標管理が大切にする「参画」は、職場目標や職務配分の段階でミーティングを行い、部下が発言することを意味します。それを通じて、部下が仕事について考え、他の人の意見を聞いて学習が進むのです。その結果、部下が担当業務の背景をより深く理解し、本人も上司も納得できる個人目標が設定されるのです。

 自分の担当業務が,どんな考え方にもとづいて決められているのかを理解できないままの個人目標は、目隠しされた状態で前に進めと言われているようなものなのです。

責任感の「独り占め」はNG

課長の悩み②:部下のやる気を削いでいるのは、私?!

 中嶋
:部下だけじゃなく、宇貝課長自身も楽しくないんじゃないか?

宇貝:な、なんで分かるんですか?! 実は、私も楽しくないんです・・・。

中嶋:そうだろうね。ところで、君の上司だった報知さん、覚えているかい?

宇貝:はい! あの頃は楽しかったですね。若手が意見を出し合って…。報知さんは何でもやらせてくれましたから、いろいろ新しいことをやりました。 

中嶋:報知さんの代わりに、君のような課長がいたら、どう思う?

宇貝:もっと任せてほしいと思うでしょうね。仕事が面白くなりかけてましたから。

中嶋:ヒントはそこだよ。君は、責任を感じすぎじゃないか? 多くのことに口を出し、部下のやる気を削いでいると思うよ。

宇貝:う~ん。

中嶋:報知さんの得意技は何だった?

宇貝:放置プレイって言われてましたね。

中嶋:育ちかけの部下がお互いに教えあい、話し合って仕事を進めることを大事にしておられたんだよ。だから君も育っただろう。

宇貝:何でも私が指示しようとするのが、ダメなんですかねぇ。

中嶋:そうだよ、責任感を部下に分かち合うのが管理者の務めだよ。部下といっしょに職場の業績を挙げればいいんだから。

宇貝:そうかも知れませんねぇ。

解説Ⅱ 「職場はみんなのもの」という考え
 宇貝課長の上司であった報知さんは、職場を「みんなのもの」と考えていたようです。上司が「職場はみんなのもの」と扱うから、部下たちも「我々の職場」ととらえ、良い職場になるよう工夫をします。

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