22年続けた政治塾も休止「小沢一郎」壊し屋の落日 衆院在職53年も、ますます失われていく存在感

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ただ、民主党政権でも増税をめぐり反旗を翻して同党を分裂させ、その結果、同政権は約2年3カ月で崩壊し、2012年12月の衆院選での自民圧勝、民主党惨敗で当時の自民党総裁だった安倍晋三氏が異例の首相再登板。その後は現在の岸田文雄政権まで圧倒的多数の自公政権が続き、旧民主党勢力はばらばらとなり、多弱野党が定着している。

そうした中、小沢氏は「生活の党」立ち上げと自由党復活などさまざまな曲折を経て2019年1月には国民民主党に合流、さらに2020年9月には立憲民主と国民民主の合流による新「立憲民主党」に“一兵卒”を自称して参加した。

ただ、同党の枝野幸男前代表や泉健太現代表との折り合いは悪く、いわゆる小沢チルドレンと言われた手兵たちの多くが落選するか小沢氏とたもとを分かったことで、影響力が激減した。

しかも、小沢氏は、岸田文雄政権発足直後の2021年10月の衆院選で初めて小選挙区で敗北、比例復活に甘んじた。さらに2022年7月の参院選でも側近の現職が落選し小沢王国と言われた岩手でも「過去の人」(自民長老)となった。

次期衆院選にも出馬する構え

今回の政治塾の休止についても、ネット上では「小沢氏の時代は完全に終わった」「革命家としてはピカイチだが、政治家ではなかった」「小選挙区で勝てない長老など必要ない」などの厳しい声があふれている。

それでも小沢氏は「もう一度政権交代を実現させるまでは挑戦をやめない」と次期衆院選にも出馬する構え。もし、それが実現して議席を維持すれば、最大あと7年近くの在職が可能となり、尾崎氏に次ぐ議員歴となるが、「見果てぬ夢に終わる」(立憲民主幹部)との見方も少なくない。

「稀代の政界風雲児」(自民長老)としてメディアだけでなく国民にも注目され続けた小沢氏の迎えた“落日”。岸田政権の現状をみるかぎり、「それが、古い永田町政治の終焉と、新たな政治の萌芽になる」との期待にはつながりそうもない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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