日本で「ニワトリの足」売る中華料理屋が増える訳 馴染みがないもみじ料理、なぜ中国では定番?

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食彩雲南ではもみじを使った料理として雲南省の少数民族、傣族(タイ族)風のレモンや唐辛子を使った「傣味雞爪」を提供しており、店に訪れた多くの中国人客が頼む人気メニューだそうだ。「もみじは、日本人にはあまり馴染みがないかもしれないですが、中国ではよく食べられている料理なのでぜひ試してみてください」(牟さん)。

食彩雲南で食べられる傣族(タイ族)風もみじ(写真:食彩雲南提供)

ちなみに、レストランのみならず、近年ではもみじ料理を提供するフードデリバリーサービスも登場している。埼玉県・蕨市のシェアキッチン「We Kitchen」は、ここで作った料理をデリバリーやテイクアウトで客に提供することが可能だ。

「We Kitchen」は、もみじを使った「レモン酸辣骨なしもみじ」や「シビ辛骨なしもみじ」などの軽食を提供しているもみじ専門店も利用している。営業部長の望月昭宇さんによれば、蕨や隣の駅の西川口などで暮らす中国人からの人気が高いそうだ。

若い中国人からの人気が高いレモン酸辣骨なしもみじ(写真:We Kitchen提供)

「もみじ料理」の卸売業者も

「檸檬酸辣鶏爪」や「滷味」などのもみじを使った料理を製造し、中華物産店に卸売りをする業者もできてきている。

東京・北区にある百味食品の工場では、もみじ料理や、冷麺、米線などを製造し、卸売りをする。同社社長の葉さんは「もみじや砂肝などを使った冷菜(中華料理の前菜)がとても人気があります。とくに年末や春節前は家族で食事する機会が多いため、売り上げが好調で、工場はほぼフル稼働になっていました」と話す。

百味食品の工場では、午前5時ごろから製造を始め午前9時ごろには都内近郊の中華物産店へ配送を行うそうだ。筆者も百味食品の「檸檬酸辣鶏爪」を食べてみたが、唐辛子や花椒の麻辣に、レモンのさっぱりとした酸味がアクセントになってとても美味しかった。もみじは小骨が多く少し食べにくいのだが、同社のものは骨が抜いてあり、そのままぽりぽりと食べることができる。

ここ数年、日本でもみじ料理を提供するガチ中華料理店が増えたり、卸売業者も出てきている理由の1つは、その価格の安さにある。

池袋や新大久保、上野などはガチ中華料理店が集まるエリアであり、中華物産店やめずらしい肉の部位を売っている店も多い。

いくつかの店を回ってみるとどの店でも冷凍もみじを扱っており、価格も1kgあたり200〜300円程度とほかの肉の部位と比較すると低価格だった。

池袋や新大久保などの中華物産店ではもみじの加工食品が数多く販売されている(写真:筆者撮影)

日本人はもともとあまり食べる習慣がないため、ほかの肉の部位に比べると需要が高くなく、安く販売されているのだろう。味はもちろんのこと、価格の安さから、もみじを扱うガチ中華料理店が増えている。

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