餃子の王将「タレ瓶に虫混入」も炎上しなかった訳 企業イメージの低下事例は過去に多く存在する

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指摘を受けてか、王将フードサービスは同日、餃子のタレとラー油、酢、コショウからなる「カスターセット」を11日から撤去し、配膳時に小皿に入れて、店員が提供する運用に切り替えたと発表した。「当社店舗や他の飲食店において衛生管理に関するトラブルが発生していること」を理由にあげている。

影響は「餃子の王将」にとどまらない。一連のニュースにあわせて、同業態で名前が似ている「大阪王将」での「ナメクジ騒動」を思い出す声もあった。

イートアンドホールディングス傘下の同チェーンをめぐっては2022年7月、宮城県内のフランチャイズ(FC)店舗で働いていた元従業員が、ナメクジやゴキブリの大量発生をツイッター上で告発。ほかにも衛生環境が守られていない実態を暴露した。大阪王将は保健所の指導に基づき、該当店舗における指摘事項を改善。そして発覚から約1カ月後、店舗運営会社とのFC契約を解除している。

「混入史」で思い出されるペヤングの事案

「ネットの混入史」を語るうえで、避けては通れないのが、2014年に起きた「ペヤングソースやきそば」の事案だ。当時大学生のツイッターユーザーが「ゴキブリ出てきた」と画像とともに投稿し、製造元・まるか食品と保健所とのやりとりを伝えたところ、一気に拡散された。

まるか食品は当初、J-CASTニュースなどの取材に対して、製造過程での混入は考えられないと回答していた。しかし報道翌日、まるか食品は2商品の自主回収を発表。その翌週には、製造過程で混入した可能性を否定できなかったとして、全商品の販売休止を発表した。

工場を大幅に改修し、パッケージ素材や構造を変えるなどの対策を行い、数カ月後に製造を再開。その後は、インパクトある味付けの限定商品などのヒットを繰り返し、かつての汚名を返上している。

このように、歴史をさかのぼってみても、ネットユーザーを驚かせ、炎上した混入事件は多く存在する。ただ、ペヤングや大阪王将の事案と比較すると、今回の「タレ瓶に虫混入」は、思いのほか炎上が広がらなかった印象だ。

もちろん、フランチャイズも多い外食チェーンである「餃子の王将」や「大阪王将」と、食品メーカーの「まるか食品」はさまざまな点で異なるので単純比較することはできない。ただ、これはあくまで筆者の肌感覚だが、ここ最近、迷惑な消費者による炎上事案が多すぎた影響は否めないだろう。

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