「古舘・古賀論争」は、なぜ放送され続けたのか 「報ステ」スタッフの対応に沸く疑問

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今回、報道ステーションの生放送中に古館氏と古賀氏の間で不穏な会話がなされた。途中のタイミングで、テレ朝スタッフはその気になれば、無理やりCMを挟むことは物理的にはできただろう。サブでCMをスタートするスイッチを押せば、番組をいったん遮ることも不可能ではなかったかもしれない。

もちろん、CMの提供枠は時間の問題もあって不可能だったという事情があったのかもしれない。ならば、音声を遮ったり、違うVTRを流したりといろいろな方法を採ることも考えられたはず。まあ、とっさのことで、判断は難しかったのかもしれない。現場では「まさか・・・」という感じがあったのかもしれない。

ただ、生放送のスタッフは本当に反射神経がいい。筆者も生放送の現場で10年以上も放送作家をやっている。生放送ディレクターの神業を何度も見た。多分かなり短い時間にいろんな判断ができるはずだ。

「やらせ」説も飛び交うが・・・

中には、この1件の騒動すべてを「やらせ」と考えているような人もいるかもしれない。筆者は考え過ぎだと思う。視聴率が飛び抜けていいわけでもない。番組サイドにもメリットが浮かばない。今さら話題づくりが必要な番組でもない。テレ朝の早河会長も3月31日の定例会見で、「生放送だったので局としてはあれば精いっぱいの対応だったが、あのような事態に至ったことについては反省している」と述べている。

テレ朝は単に止められなかったのか、それとも止めなかったのか。これも本当のことは表からは分からない。ただ、報道ステーションのスタッフが、2人の言い争いをそのまま放送し続けたということは、テレビ業界を知る人間からすると不思議に思う面はあるのだ。

野呂 エイシロウ 放送作家、PRコンサルタント

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のろ えいしろう / Noro Eishiro

放送作家として培ったテレビ番組をヒットさせるノウハウを、企業広報に生かす戦略的PRコンサルタント。コミュニケーション戦略のプロフェッショナル。

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