日本のディーラーが「中国BYD」のEVを売る思惑 日本でも店舗網着々準備、市場に食い込めるか

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「EVに関しては新興メーカー、または既存ディーラー含めてより多くの接点を持って取り扱いたいし、知識として蓄積したい」

こう話すのはオートバックスセブンで販売店事業を担当する吉山弘樹常務執行役員だ。2022年12月にBYDオートジャパンと販売代理店契約の締結を発表した。2023年5月に栃木県で開店するべく準備を進めている。

オートバックスセブンは栃木県でアウディ、BMW、MINIなどの輸入車販売事業を展開しており、そのスタッフを活用する。吉山氏は「しばらく様子をみるのは選択肢としてあったが、(BYDのEV販売を)やるのであればやりやすく、望むエリアでスタートしたかった」と話す。

BYDとのディーラー契約締結には、カー用品店「オートバックス」での収益につなげたい狙いもある。新車販売を通してEVのメンテナンスやアフターサービスにおけるノウハウを習得できるからだ。

「BYD AUTO東名横浜」
BYDは2月2日に1号店「BYD AUTO 東名横浜」をオープンさせた(記者撮影)

EVとガソリン車では、整備に必要な技術の差が大きい。エンジンはなく、モーターやバッテリーなど整備で扱う構成部品が違うのだ。BYDのようなEV専用ブランドと契約締結することで、知見を蓄積できるというわけだ。

オートバックスセブンは整備士へのEV対応教育を実施し、2030年度までにはEV対応可能な整備士を約1100名にまで増やす目標を掲げており、EV化への対応も進めている。

特定ブランドへの依存減らす

東海地方でホンダや日産自動車の販売事業を展開するVTホールディングスも「取り扱いのポートフォリオの拡充につながると判断」(広報担当)して三重県と岐阜県でBYDの店舗出店を決めた。

電動化などクルマの技術革新による自動車業界の変化への危機意識がある。「自動車メーカーはEV化や自動運転などの開発負担が重いのではと見ている。もっと言うと生き残りが結構大変なのでは」(広報担当)と話す。そのため、「取り扱いブランドのポートフォリオの一層強化が、次の時代の車両を流通させていくうえで重要だ」(同)と考える。

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