リーダーとは自分から先にケツを出すことだ 「ジヌよさらば」の松尾スズキ監督に聞く

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©2015 いがらしみきお・小学館/『ジヌよさらば~かむろば村へ~』製作委員会
 田舎の小さな村“かむろば村”に、おカネを“さわれない、使えない、欲しくない”という“おカネ恐怖症”になってしまった元銀行マンのタケが降り立つ。
 「1円もおカネを使わない!」と悲壮な決意で村にやって来たタケだったが、どこか田舎の自給自足ライフを甘く見ているフシも。度々命の危険にさらされるが、憎めない天然キャラがさいわいして個性的な村人たちに度々助けられる。“ジヌ”とは、東北地方の言葉で<銭>のこと。都会から遠く離れたかむろば村で、無鉄砲でヘタレなタケがつかみとった“ジヌを使わない生活”の行きつく先は――。
 原作は第14回手塚治虫文化賞最終選考ノミネート作品となったいがらしみきおのコミック『かむろば村へ』。この作品を松田龍平、阿部サダヲ、松たか子、二階堂ふみ、西田敏行ら豪華キャストで実写映画化したのが4月4日より公開中の映画『ジヌよさらば ~かむろば村へ~』だ。
 今回、この作品の監督でもあり、人気劇団の「大人計画」を主宰し、劇作家、演出家、俳優、コラムニスト、エッセイスト、小説家など多彩な顔を持つ松尾スズキ氏に、新作映画について、彼の考えるリーダー論、さらには演劇に対する思いなどについて聞いた。

原作の質感、手触りが自分に響いた

――もともと松尾さんは、いがらしみきおさんのファンであったと聞いています。いがらしさんの『かむろば村へ』を映画化すると聞いた時はどう感じましたか?

「ギャグにリアルを感じた」(撮影:梅谷 秀司)

いがらしさんの描いている質感、手触りといったものが非常に自分に響くんです。

ギャグの一つひとつが面白い。いわば僕が舞台でやってることにすごく近い。それは、たとえば物事のとらえ方が多面的であるというんですかね。残酷なことが起きているようでもそこにギャグがあり、泣けるような話があってもやはりそこにギャグがある。

どんな時にも必ず笑いが乗っかっている世界観といいますか。それが逆にリアルだと思うんです。

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