ペナン島で「中華学校」に入って学んだこと 校則も授業も厳しいって本当?

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長塚さんは、次のようにも言う。「実際に入ってみると、校則は確かに厳しく、身だしなみなど細かくチェックされます。ただ、宿題は覚悟していたほど多くもなく、うわさに聞いていた体罰もない。生徒たちは上下関係もなくフレンドリー。そこでは少し拍子抜けしました」。

英語以上に中国語習得を重視

学校は朝7時15分から15時まで。クラブ活動が週に2~3回あり、土曜も授業がある。拘束時間はインターナショナルスクールに比べて長く、体力も必要となる。子どもたちの勉強に対する姿勢は真剣だ。クラスは成績順。授業はレベル別に行われ、テストで一定の成績が取れないと進級できないため、必死で勉強する。

「日本の中学3年生で学ぶことを中華学校では2年生で学ぶなど、全般に進度が早い。そして教科書も分厚い。数学は英語と中国語の両方で学ぶため、2種類に分かれており、やることも違います。マレー語も必須です」

この中華学校では多くの生徒がフォーム5(高校2年)の時期にUECと呼ばれる中華系独立中学共通の統一試験を受ける。しかし、長塚さんはお子さんに英国式のIGCSEを予定。そこから先の進路は、職業も含めて本人が決めることだと思っている。

学校のお知らせはすべて中国語で来る。長塚さん自身も手紙が理解できる程度までは中国語を習得したいと考えている。でも何より、ここでたくさんの外国人の中国語学習熱に圧倒される。

「中国語を学ばせるために、母国を離れ単身で寮生活するタイ人やインドネシア人も大勢います。アジア各国ではすでに英語を超えて中国語習得に乗り出している、という現実を日本人にも知ってほしいです」

長塚さんは現地で起業。仲間と「ワクワク海外移住」というサイトを立ち上げ、ペナンの学校の視察ツアーなどを行っている。移住して以来、できるだけローカルと交流を持つように心がけてきた。

「ローカルの友人たちにも、中華学校へ通うことを勧めて応援してくれる人が多いです。日本人とだけ付き合っていたら、おそらくこういう行動にはならなかったと思います」

まだ、中華学校を選択する日本人は数少ないが、今後は増えてくるだろうと予想している。「まだ中華学校を選択する日本人は少ないですが、後に続きたい人がいたらお手伝いしたい」と結んでくれた。

野本 響子 ジャーナリスト

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のもと きょうこ / Kyoko Nomoto

東京都立青山高校、早稲田大学法学部卒業。安田火災海上保険(現損保ジャパン)を経てアスキー入社。『MAC POWER』(アスキー)、『ASAHIパソコン』『アサヒカメラ』(朝日新聞出版)の編集者を経て現在フリー。『僕がアップルで学んだこと』『企業が『帝国化』する』(ともに松井博著/アスキー新書)編集。著書に『いいね!フェイスブック』(朝日新聞出版)、『マレーシアの学校の○と× アジア子連れ教育移住の第一歩』(Kindle)ほか。1990年代半ば、仲良くなったマレーシア人家族との出会いをきっかけに、マレーシアの子育てに興味を持ち、現在クアラルンプール郊外に長期滞在中。趣味はオーケストラでの楽器演奏。

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