ユニクロの買い物客は、なぜ「ゲスト」なのか

顧客を指す言葉が変わったことの意味とは?

ディズニーでは「ゲスト」という呼び方が浸透している(写真:Edward Linsmier/The New York Times)

顧客をもてなしの対象として扱う動きが拡大

ドラッグストアチェーン「ウォルグリーン」のレジの行列はなかなか進まない。洗剤やらデンタルフロスやらが入ったかごを抱え、あきらめの表情で並んでいる買い物客の胸には、早く支払いを済ませて家に帰りたいという思いしかない。

さて順番がようやく回ってきた客に、レジ係は笑顔で今どきの言葉で声をかける。「次の『ゲスト』の方、どうぞ!」

日常に潜む誰にも説明できない謎というのはいくつもあるが、これもそのひとつと言っていいだろう。どういうわけか、いつの間にか、ドラッグストアや食料品店、銀行や、ユニクロやステープルズといった小売りチェーンでも、顧客を指す「カスタマー」という言葉が「ゲスト」に取って代わられるようになってきた。

こうした語法の変化には眉をひそめる人も少なくないし、ツイッターなどインターネット上でも非難の声が上がることも珍しくない。

以前からホテル業界では宿泊客のことを「ゲスト」と呼んでいたが、それがどのようにガソリンスタンドまで広がっていったのか。私たちは調べてみることにした。

オックスフォード英語辞典の定義を見る限り、この2つの言葉に互換性はない。ゲストは他人の家や食卓でもてなされる人を意味し、カスタマーは買い物目的で販売所を訪れる人を指す。

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