「育児のほうが過酷」と極地レースする人が語る訳 "終わらないマラソン"でメンタルを保つコツ

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赤坂剛史さんが完走したサハラ砂漠でのレース。今は石川県で極地レース「白山ジオトレイル」を主催している。妻の赤坂友紀さんはフィリピン支援団体ブルードットの代表をしつつ、極地レース開催のサポートもしている(写真提供:赤坂剛史さん)

今回は「世界中で極地マラソンを完走したパパ」ということで、どんなパワフルで元気な男性なのかなと私は想像していました。でも、実際に会った剛史さんはあまりに穏やか。実は、長期の極地マラソンの参加者はそういうタイプが多いそう。

そして、育児でも大事なのは、短期的な強さや勢いよりも、長期的な強さと穏やかさです。特に妊娠中から産後しばらくの女性はホルモンバランスが崩れて、感情のアップダウンが激しくなりがち。パートナーである夫のメンタルが安定している、というのはかなり心強いだろうと思いました。

家事育児の大変さは自分で長期的にやってみないとわからない

とはいえ、普通の人は極地マラソンで精神を鍛えたりしていません。剛史さんレベルのメンタルで育児に挑むことは難しいと正直思います。でも、この世界の極地を制した鉄人が「ある意味、極地マラソンより育児のほうが大変」と言ったひとことは、ぜひ広く共有したいなと思ったのです。なぜなら、同じ大変な日々を過ごしていても、周りの理解があるかどうかで、その疲れの感じ方はだいぶ変わってくるからです。

剛史さんはこうも言います。「家事育児の大変さは自分で長期的にやってみないとわからない。自分がやっていれば、小さい子供がいて、家をずっときれいに保つのがどれだけ難しいかわかる。そういう想像力が育つ」。双子ワンオペ育児もこなしてきたパパだからこそ言えるセリフです。

ちなみに、剛史さんは、育児のことをSNSに書くときは「ネガティブなことを書き終えたら、6秒以内にポジティブなことを書く」、そう決めているそうです。もちろん、ネガティブなことを書くのはストレス発散にもなるので必ずしも悪いわけではないですが、そういう「SNS発信の自分なりのルール」を決めるのはとてもいいなと感じました。そういうことが、メンタルが崩れがちな育児中には大事なことだと思うからです。

というわけで、今回のつかれないヒントは……

パートナーの育児疲れが理解できない

ひとつひとつはちょっとした作業でも、
睡眠を削りながら延々とやり続けるのは、
経験した人にしかわからないほど大変。
周囲が「作業内容だけ」で判断しないのは大事。

さて、次回以降は、彼らの産後の生活を紹介していきます。彼らが夫婦育休中に行った「プチ移住」とは?

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ハラユキ イラストレーター、コミックエッセイスト

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はらゆき / Harayuki

雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『女子が踊れば!』 (幻冬舎)、『王子と赤ちゃん』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、この連載を書籍化した『ほしいのはつかれない家族』(講談社)など。この連載のオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰し「つかれない家族をつくる方法」を日々探求、発信中。ハラユキさんのHPはこちら

 

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