問題はもう起こさない。そう言い切って間違いない

問題はもう起こさない。そう言い切って間違いない

売上高1兆円目前。巨大な未上場企業である佐川急便グループ。戦後最大級のスキャンダルとなった東京佐川急便事件から約15年が経過し、不死鳥のごとくよみがえったが、コンプライアンス(法令順守)は確立できたのか。
(週刊東洋経済2月9日号より)

 佐川急便を中核とする持ち株会社、SGホールディングス傘下の佐川グローバルロジスティクスは1月、グッドウィルの労働者を大手通販会社の倉庫に違法に二重派遣していたほか、派遣可能期間でも法令違反があったとして、東京労働局から事業改善命令を受けた。

 これまで佐川は、政財界や裏社会を巻き込んだ東京佐川急便事件のツメ跡が深く、ダーティなイメージがつねに付きまとってきた。そして創業50周年を迎えた2007年には心機一転、シンボルマークの飛脚マークやユニホームを一新し、ポスト50年に向けて走り出した矢先の不祥事。実父でカリスマ創業者(故佐川清氏)の負の遺産を背負ってきた栗和田榮一会長兼社長が最も気を使ってきたはずのコンプライアンスは大丈夫なのか。その胸中を聞いた。

 --違法行為はなぜ起きたのでしょうか。

(派遣社員の)雇用時に書類と実際の仕事内容が合っているかどうかについて、自分たちの目でしっかり現場を見ていなかったということがあるのではないかと思っており、非常に反省しています。昨年実施した社内業務監査で問題点を指摘されていたので、直ったと思っていましたが残念です。(人材採用は)自分たちでやれないことはないのですが、季節変動も大きく、どうしてもコストと時間がかかる。そこで運輸業界にしろ、物流業界というのは、派遣業者などに頼らざるをえない体質があるわけです。

 --それでは問題の本質は変わらないのではないでしょうか。

 これからは派遣ではなく、直接雇用する方向に進みたい。派遣を法律の範囲内でやろうとするとどうしても柔軟性がない。(供給先が労働者に)直接指示ができない部分がありますよね。工場で決まったマニュアル仕事で動くならいいですけど、たとえば、荷物が散乱し、コンベヤーで流れてきたとき、いちいち供給先がうちの指導員に対して指示をしてから動かすよりも、どうしてもつい直接声を出してしまうと思うんです。法律は順守すべきだが、運用にはやりにくい面があります。

 --東京佐川事件を起こした会社というレッテルが張られ、徹底したコンプライアンスが求められています。改めていけるのでしょうか。

 うちの会社は過去にすねに傷を持っている組織ですから、二度と問題を起こしちゃいけない。同業者の中でもそういうことに対してはより厳しい姿勢を貫くべきだと思います。これまで社内規則などを整備したり、幹部から現場に至るまで、なぜこういうことをしなきゃいけないのかということは機会あるごとに理解を求めてきました。最近ではそれなりに社会的な認知度も上がっています。06年には持ち株会社にして次のステップに行こうという矢先だったので、もう一度足元をしっかり見直さなきゃいけないと思いました。組織と現場教育と管理部門を立て直し、こうした問題をもう起こさないんだと言い切っても間違いではありません。

 --東京佐川事件以降、社会の見る目は変わりましたか。

 変わってはきたでしょうけれども、1回問題を起こすと、それが20年から30年前の企業でも、今でもたまに年に1回か2回は名前が出てきますよ。10年や15年で全部払拭できるということはないですね。それでも実際に店長・主任研修などやると、15年前からいる人はわずか3人ぐらい。大学なんかで話をしても、東京佐川の問題を知らない学生さんは多いですよ。だから、なおさら風化させないように、きちんと折りに触れて話をしていく必要があると思います。社内では年に2~3回の管理職会議で話をしたり、社内報に書いたりもしています。これはキャッチボールと一緒で、相手が受け止めるかどうかは別として、やっぱりつねに投げ続けなければいけない。理解しないからと投げるのをやめたらそれで終わってしまう。

 --昨年は創業50周年を迎え、伝統の飛脚マークを刷新しました。

 どこかで変えなきゃならないと思っていました。あの問題がなくても変えたかもしれません。ただ、あの問題があったから私は社長になり、私だから変えられた。今後は海外展開にも力を入れるうえで、50年の節目の今がいいと思いました。

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