「食べ放題店ばかり行く男」と結婚した彼女の観点 8年余の婚活を「戦い抜いた」そして感じたこと

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「仕事がようやく落ち着いてきた頃だったので『そろそろ結婚したい』と思っていたタイミングでしたが、結果としてはできちゃった結婚です」

この結婚は明弘さんにとっても真奈美さんにとっても悪い組み合わせだったようだ。ある意味、昭和的な男性である明弘さんは基本的に仕事が最優先。毎日のように夜遅くまで働いて帰宅していた。一方の真奈美さんは予期せぬ妊娠と子育てに不安があったのだろう。出産後はノイローゼ気味になってしまい、挙動がおかしくなっていった。

「ある夜、帰宅したら浮気を疑われました。もちろん、浮気なんてしていません。携帯をとられそうになったので手を払ったら、DVをされたと警察に通報されて……。子どもを連れてシェルターに入ってしまいました。向こうの両親に説明しても何もしてくれません。離婚調停を経て完全に縁を切られてしまいました。その後、音信不通です」

裁判では、まったく身に覚えのない暴力行為の証拠として医師の診断書まで突き付けられたという明弘さん。女性が怖くなり、それからは「もう結婚はいい」と思いながら一人で過ごした。

苦しい離婚から7年の歳月が流れ…

そんな明弘さんの心境が変化したのが2020年だった。苦しい離婚から7年の歳月が流れ、「世界中の女性が前の妻と同じような人ではない」という当たり前の事実に気づいた。そして、周囲のカップルが羨ましくなり、自分もこのままでは死ねないと人恋しく思うようなった。

「この時代なのでマッチングアプリを利用しましたが、基本的には不信感しかありませんでした。実際、課金していた月の終わりになると急に『いいね』が増えて、会おうとするとその女性はすでに退会していたり……。恭子のことも最初はどうせサクラだろうと思っていました」

最初の1カ月間は会わずにメッセージの交換にとどめたこと、ようやく会ってからも自己アピールよりも恭子さんの素性を知ることに努めたこと。それらは明弘さんの聞き上手な性質にも起因しているが、相手を疑う気持ちの表れだったのだ。

ただし、大学院卒でアメリカ帰りという恭子さんの経歴に引かなかったのは別の理由がある。明弘さんもスポーツ分野では同じぐらい際立った活躍をした経験があるため、恭子さんを特別視することはなかったのだ。

「昔のことを自慢したり、あれこれ言われるのはあまり好きではありません。過去を引きずっていても先はない、と思っています」

2度目のデートで恭子さんの「素の笑顔」が見られたと振り返る明弘さん。「この人はサクラじゃない」とようやく信じられたという。そして、恭子さん主導の結婚生活に突入している。

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