京急1000形、なぜ「最大勢力」にまで増えたのか 同じ形式の中にさまざまな"派閥"が存在する

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初期の2002年と2003年に導入した編成(1・2次車)には海外製品が採用された。2100形と同様、当初は制御機器がドイツ・シーメンス製だった。車端部のクロスシートも実は海外製だ。

発車する際に音階を奏でる通称「ドレミファインバータ」として親しまれたが、徐々に機器更新によって数を減らし、最後の1編成だった1033編成は2021年7月20日、「歌う電車」としての運行を終了した。

京急新1000系11次車 1145編成
11次車の1145編成はステンレス車体の側面に赤のラッピングをした「銀千」(記者撮影)

2007年3月には同社初のステンレス車が登場した。側面はシルバーの車体の窓の上下に赤のラッピングを施した外観デザインとなったほか、座席は車端部も含めロングシートのみ、と経済性と機能性が優先された格好になった。車体色から「銀千」と呼ばれる。前面のワイパーカバーは省略され、「1000」の文字のプリントに。側面にはローマ字の「KEIKYU」が存在感を放っている。運転台を150mm高くするなどの改良も加えられた。

ステンレス車体に塗装した

以来、ステンレス製となった1000形に転機が訪れたのは、2015年の15次車。4両編成(1800番台)2本は赤い車体に窓周りがクリーム色、というアルミ車のデザインに近くなるよう、窓枠・ドア枠を除いて側面にラッピングを施した。側面の見た目はアルミ車と車体色の統一性が図られた一方で、先頭車の「顔」は大きく変わった。

1000形1800番台(15次車)は4両編成で中央に貫通扉。側面は窓まわりにもラッピングを追加(記者撮影)

1800番台は前面中央に貫通扉を配置した構造とし、ほかの編成と連結、通り抜けられるようにして8両編成で直通先の都営浅草線などで運用できるようにした。15次車では、6両の1367編成もファンにとって見逃せないという。銀千のラスト編成となったほか、京急で唯一、東芝製の永久磁石同期電動機(PMSM)を採用しているため走行音が異なる。

2016年度の16次車にはステンレス車になって以降、初めて車端部のクロスシートが復活。外観は1800番台同様に側面をラッピングした。2017年度に登場した17次車(1200番台)以降はステンレス車にもかかわらず全面塗装とした。

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