頑張りすぎて「潰れそうな子」にかけたい響く一言 「ゆっくりしたら」では子どもには届かない

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以上をまとめると次のようになります。

(1)稼働させるアプリが多いほど、バッテリーの消耗は大きい
(2)バッテリーはゼロになってから充電すると劣化する
(3)もともと搭載されているバッテリー容量が小さいと、消耗するまでの時間が短い

成田さんのお子さんは、まだ中1ということで人としてのキャパシティ、すなわち“バッテリー容量”がそれほど大きくない状態だと思います。成長していくにつれ、“バッテリー容量”は大きくはなっていきますが、現在はキャパシティを超えた状態だと思われます。さらに、それぞれを“頑張っている”ため、エネルギーの消費量は通常より大きい状態になっていると考えられます。

すると、日々、“バッテリー”が劣化し続け、フル充電できない状態になっていきます。フル充電できなくても、90%ならまだ動けます。でもこれが80%、70%と下がり、日中の活動量が変わらないとすると、フル充電の%がさらに下がり、やがて、朝起きて活動するための電池残量さえ残っていないことになりかねません。

自分の置かれた現状を理解できるようにサポートを

以上を参考に、お子さんには次の手順でお話ししてみてください。

(1)現状のイメージ

お子さんの今の状態を、スマホと重ね合わせて、次のようなお話をしてください。

「スマホでアプリをたくさん動かすと、それだけバッテリーの消耗量が大きくなってしまうよね。その状態を繰り返しているとバッテリー容量が減っていってしまって充電しても、100%まで回復しない状態になってしまうこともあるんだよね。すると使いたいアプリが使えなくなってしまうね」

(2)未来の話

現状の話が理解できたら、これからの希望について次のような話をします。現状の話だけでは現状否定と悲惨な未来だけが伝わってしまう可能性があるため、次の話も続けてしてあげてください。

「でも、アプリの使用頻度を下げたり、長時間使ったりしなければ、電池をそれほど使わないので、充電したらすぐにバッテリーは回復できるよね。そうすると、いつまでもほどよく使いたいアプリを使うことができるようになるね。人間も同じようなものかも」

以上、「今のお子さんの活動を減らす話を直接する」のではなく、「自分の置かれた現状を理解できる例え話として伝えていくこと」が大切です。

あくまでも今は、「一時的にバッテリーを回復させることが大切」ということが伝われば、自分で活動の絞り込みや力の入れ具合を調整するようになると思います。

そうしていけば近い時期にまた、勉強、部活、習い事、交友関係など自分の好奇心をフルに発揮し、楽しみながら行動できる日がやってきます。

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石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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