「ランクル300」は一体、誰が買っているのか? 新車購入者を分析して見えた真のオーナー像

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もう1つの特徴は、「販売店や営業スタッフ」「購入予算」のスコアが低いこと。

セールス面でのプッシュはあまり必要とされておらず、また“もう少し値引きがよかったら購入しよう”ということもない。“指名買い”される人気モデルならではの特徴が、ここでも見て取れる。特に300系では予算を気にする人は少ない。これは前述の世帯年収面での余裕の大きさも影響しているだろう。

ZXのインテリア(写真:トヨタ自動車)

また、“指名買い”されるクルマであることは、「決定のこだわり度」からもわかる。

「ぜひこの車種に」「ぜひとは言わないがこの車種に」「なるべくならこの車種に」「なんとなくこの車種に」の4つの選択肢で質問したうち、「ぜひこの車種に」を回答した人の割合は、300系:80%、200系:75%、プラド:65%だった。多くの人が、最初から「ランドクルーザーを買う」と決めて買っているのだ。

楽しみには「お金や時間を惜しまない」人たち

最後に、ランドクルーザー購入者をより立体的にとらえるために、クルマに対する価値観や、生活/消費に対する価値観を見てみよう。

300系購入者が突出していたのは、クルマに対する価値観である「車は自分にとって趣味の1つである」、そして生活/消費に対する価値観の「生活を楽しくするためにはお金や時間を惜しまない」の2項目だ。端的に言えば、“クルマ好き”であり、そのための支出を惜しまない人々である。

こだわりを持って選び、そこにはお金を惜しまない。それが、今回の分析で浮かび上がったランドクルーザーのユーザー像だった。こんな人たちに支えられているのだから、ランドクルーザー人気の凄まじさもわかるというもの。

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しかし、ランドクルーザーがラグジュアリー路線を強めるとすれば、ランドクルーザー300系がベースとなるレクサス「LX600」との差別化も気になる。こちらは1250万~1800万円とさらに高価格となるが、ランドクルーザーと同様に世界的に人気が高い。いずれ、このあたりも分析してみたいところだ。

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三浦 太郎 インテージ シニア・リサーチャー

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みうら たろう / Taro Miura

北海道大学大学院理学院卒業後、インテージ入社。自動車業界におけるマーケティング課題の解決を専門とし、国内最大規模の自動車に関するパネル調査「Car-kit®」の企画~運用全般に従事。

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