「日本株売り」と「円高ドル安」の同時進行に要注意 「米国株の下落」と「日銀要因」で極度の混乱も

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企業業績見通しについても、13日から2022年10~12月期の決算発表が本格化し始めたところだが、S&P500指数に採用されている企業の同四半期の1株当たり利益は現時点で前年同期比4.4%の減益が見込まれている(ファクトセット社が集計するアナリスト予想値の平均値)。ほぼ3カ月前の2022年9月末時点では3.5%増益の見通しだったので、大幅な下方修正だ。

以上を踏まえると、これからアメリカの株価は「逆業績相場」(業績悪化による株価下落)に突入するだろう。同国株が下落することが、日本などほかの主要諸国の株価も押し下げると懸念する。また、景気悪化や業績悪化をまとった同国株価下落は、ドル相場を対円で軟化させるだろう。

日本株は目先「日銀騒ぎ」に襲われそう

一方の日本株はどうか。前述のように、ただでさえアメリカの株価動向が重しになりそうなところに、「日銀騒ぎ」がのしかかっている。

先週降ってわいたのは、12日朝の読売新聞の報道だ。ここでは「日本銀行は17~18日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策に伴う副作用を点検する」と報じられ、「日銀がYCC(イールドカーブコントロール、10年国債利回りをある一定範囲に収めること)を修正する」との思惑が広がった。

この報道で金利上昇思惑が膨らみ、ドル円相場が一気に1ドル=127円台に進んだ。前述のようなアメリカ株の堅調推移にもかかわらず、13日のシカゴ日経平均先物(円建て)は2万5805円と、2万6000円割れで引けている。

この日銀騒ぎの本質を理解するには、前回の金融政策決定会合(昨年12月19~20日)を振り返る必要があるだろう。

日銀は12月20日になって突然「YCCの上限をこれまでの0.25%から0.5%に引き上げる」と発表した。10年国債利回りはたびたび0.25%の上限に突き当たっていたので、0.5%に上限を引き上げれば(下限もマイナス0.25%からマイナス0.5%に引き下げてはいるが)国債利回りは当然上昇すると考えられるため、実質的な利上げだと解釈された。

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