東日本大震災を試練に日本は自信を取り戻す--英メディアが見た大震災下の日本

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 しかし、阪神大震災での政府当局の不手際を通して、国民はもはや政府を信頼できないことを知ったのだと思う。私は、これが、自由民主党の没落につながった遠因の1つだと思う。長期に渡った自民党体制の棺に最後の釘を打ったのだ、と。

今政権を担当している民主党は、透明性と説明責任を前面に出し、新しい政治を作るといって権力の座についた。菅首相は今回の震災前まで、政治危機に苦しんでいた。自民党時代の多くの首相のように、またすぐ首がすげかえられると思われていた。菅首相は、自分自身がもともとは市民運動の活動家だった。自民党と原子力産業との癒着を批判してきた一人でもある。

そこで、今回、私たちは、菅首相がこれまでにないほどの説明責任を果たすことを期待している。

--これまでの菅首相の動きはどうか?

95年の阪神淡路大震災の時と比較すれば、よくやっているのかもしれないが、首相として実際に何を行っているのかが見えにくい。

--東日本震災後の日本を見てどう思ったか?

日本にいるすべての人の反応に感銘を受けた。政府は危機発生後、すぐに知っていることを外に出そうとしていたし、自衛隊を現地に派遣させた。また、私たちの特派員たちの報告によれば、国民はこれほど大きな破壊状況に直面しても、驚くほどの落ち着きを見せていた。

しかし、私が懸念するのは、この落ち着きがあっという間にパニックに変わる可能性だ。原発事故の回収作業の行方の予想はほぼ不可能だが、何か恐ろしい事態がおきるのではないかと考える人が増えている。実際に健康に大きな影響を及ぼすほどの放射能が出る可能性は客観的に見て、現状では低いのだが。

--チェルノブイリ危機のレベルになるという予測も一部であるが。

可能性は否定できないかもしれないが、実際、チェルノブイリでさえ、多くの人が命を失ったわけではない。リスクがあったのは原発付近の住民たちであった。

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