ガソリン価格は、このまま上昇し続けるのか 米国の石油生産量と在庫量の動向がカギ

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この間は、円安により一部相殺されたものの、原油市況の下落のほうが大きかった。

しかし、今年1月以降、原油価格には下げ止まり傾向が出てきた。米国の石油掘削リグの稼働数が減り始めたことから、生産が鈍化し需給が引き締まるとの見通しが強まったためだ。ところが、足元では再び軟調になっている。

足元の在庫量は過去最高レベル

その背景について、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の上席エコノミスト・野上隆之氏は、「現在は不需要期なので、原油在庫がなかなかはけない。さらに、将来は原油価格が上昇するだろうとの見通しから先物価格が上昇しているため、業者はますます足元の在庫を増やし、在庫が過去最高水準となっている」と解説する。

先行きはどうか。野上氏は「5月下旬の米国のメモリアルデー以降、ドライブシーズンに入り、需要が増えていく。そのため、徐々に原油価格は上昇し、今年前半は55~60ドル。後半は70ドルを目指す動き」と見る。

今年9月ごろにはFRB(米国連邦準備制度理事会)が利上げに踏み切る可能性もあり、円安が一段進む可能性もある。

今年後半には、ジリジリとガソリン価格が上昇していきそうだ。

(「週刊東洋経済」2015年4月4日号<3月30日発売>「価格を読む」を転載)

大崎 明子 東洋経済 編集委員

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おおさき あきこ / Akiko Osaki

早稲田大学政治経済学部卒。1985年東洋経済新報社入社。機械、精密機器業界などを担当後、関西支社でバブルのピークと崩壊に遇い不動産市場を取材。その後、『週刊東洋経済』編集部、『オール投資』編集部、証券・保険・銀行業界の担当を経て『金融ビジネス』編集長。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(経営法務)修士。現在は、金融市場全般と地方銀行をウォッチする一方、マクロ経済を担当。

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