山手線渋谷駅「ホームが1つ」になった工事の全貌 スクランブル交差点近くのガードも桁を移動

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約53時間半に及んだ工事は9日未明に完了し、同日の始発電車から内回り・外回りが一体となった新たなホームの使用が始まった。新ホームの幅は最大で約15.9m。工事の囲いなどで狭い場所もあるが、とくに南改札に通じる階段付近などは広々とした印象だ。

内回り・外回りが一体化した新ホーム(写真:JR東日本)

ただ、従来の内回りホームは最大幅約12m、旧外回りホームも最も広い部分は15.5mあったといい、内・外回りのホームの一体化によって合計の幅は狭くなったともいえる。ラッシュ時などの乗降への影響についてJR東日本は「需要予測や流動検証を綿密に行いホームの幅員を計画しているので、混雑時などについても十分な幅を確保している」と説明する。

また、ホームの一体化に伴って、改札とホームを結ぶ階段などの設備増強も必要となる。3階の中央改札へ通じるルートは、1月15日からホームの中ほどに新設した階段・エスカレーターに変更する。「現状(従来)の位置に新しいエスカレーターや階段を設置することが施工上困難なため」(JR東日本)、別の位置に新設することにしたという。新ルートへの移行で、中央改札との行き来は改善されそうだ。

次の工事では何が変わる?

2013年3月に東急東横線の駅が地下化され、2020年1月には数年がかりの工事を経て地下鉄銀座線のホームが明治通り上空に移転、そして同年6月には他線の駅から遠く離れていることから「南渋谷駅」と揶揄されることもあった埼京線のホームが現位置に移転するなど、この10年で大変貌した渋谷駅。山手線ホームの一体化により、新たな駅の形はおおむね固まったといえる。今後は旧外回りホームの撤去が進む予定だ。

だが、工事はまだ続く。渋谷駅の線路切り換えは計5回を予定しており、最後のステップとなる次回は山手線の線路・ホームの高さを上げる。「東西を横断する自由通路の整備を一体で進めており、その通路の高さを確保する必要があるため」(JR東日本)だ。

駅周辺の再開発は2027年度の完成予定。同年度には駅の上と西側に高層ビル「渋谷スクランブルスクエア」の中央棟・西棟が開業し、東西自由通路の整備などで駅の姿はさらに大きく変わる。今後も当分の間、渋谷の街には工事のつち音が響き続ける。

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小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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