データが示す「団塊ジュニア」悲劇の世代の4苦難 これから訪れる「過去最大の試練」に備えよう

拡大
縮小

厚生労働省の調査によると、勤続20年以上かつ45歳以上で大学・大学院卒の退職給付金の平均は、2003年には2499万円でした。それが2018年には1788万円と、15年前に比べて700万円近く減少しています。

残念ながら、この傾向は今後も続くと思われます。会社を出ればリスクが高く、会社に残っても過去と比べると退職金は目減りする厳しい状況です。

これからの苦難4:社会保障は手薄になる

4つ目の苦難は、「手薄になる社会保障」です。

団塊ジュニア世代を待ち受けている「2040年問題」があります。2040年問題とは、(1)団塊ジュニア世代が65歳になる2040年以降、高齢者人口がピークとなり、(2)労働人口が激減して労働力不足が深刻になることから、(3)年金や医療費などの社会保障費も増大することが予想されている政府の財政問題です。この問題にともなって、年金の支給開始年齢の引き上げも検討されているようです。

2000(平成12)年の法律改正で、老齢厚生年金の支給開始年齢がそれまでの60歳から65歳に引き上げられましたが、さらに70歳に引き上げられるかもしれません。

すると、65歳で退職後不運にも再就職できなかった場合、年金受給までの5年間は無職となり、退職金を取り崩して生活しなければならなくなります。単純計算として1カ月15万円で5年間暮らすことを考えると、900万円が余計に必要になります。

「団塊ジュニア・サバイバル」の幕開け

これまで見てきた各種のデータから、団塊ジュニア世代が直面する未来は想像以上に厳しいことが予測できます。

しかし、私たち団塊ジュニア世代には65歳の退職時期まで、まだ15年近くあります。今から動き出せば充分間に合います。団塊ジュニア世代は、今こそ会社にいる時間を有効活用して、来るべき苦難を乗り越える「準備」を始めていきましょう。

そのためには、現実を冷静に把握しつつ、団塊ジュニア世代独自のサバイバル計画を持つことが必要です。

まさに「団塊ジュニア・サバイバル」の幕開けです!

私たちは、労働人口のボリュームゾーンである団塊ジュニア世代1人ひとりが、サバイバル計画を持って日々たくましく前進していけば、日本全体が元気になると本気で思っています。

次回はそのサバイバル計画の作り方について、お話ししていきます。

この記事の画像を見る(3枚)
原尻 淳一 キャリア未来地図研究所共同所長、マーケティング・ジェネレーター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

はらじり じゅんいち / Junichi Harajiri

1972年埼玉県生まれ。龍谷大学大学院経済学研究科修士課程終了後、大手広告代理店入社し、主に飲料のブランドマーケティング業務に携わる。エンタテインメント会社に転職し、マーケティング部門を統括。アーティストのマーケティング戦略、映画の宣伝戦略、アニメの事業戦略の立案を行い、大ヒットに導く。現在はマーケティングコンサルタントのほか、龍谷大学客員教授として「知の技法」「マーケティング」の講義を行う。また、一般社団法人みつかる+わかるの代表理事として、新しい学びの方法を探究している。著書に『IDEA HACKS!』等、東洋経済ハックシリーズ。近著には『ビジュアル マーケティング・フレームワーク』(日経文庫)がある。

この著者の記事一覧はこちら
千葉 智之 キャリア未来地図研究所共同所長、合同会社GENSO代表

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ちば ともゆき / Tomoyuki Chiba

1973年広島県生まれ。広島大学経済学部卒業後、鹿島建設株式会社に新卒入社し汐留再開発等の大規模プロジェクトを手掛ける。31歳で総合メディア企業へ転職という異色のキャリア。

美容業界向け経営支援スクール部門及びリサーチ部門の責任者として会員5万人の業界最大規模の経営支援スクールを設立し、講師としてのべ受講者人数は1万人を超える。

転勤で広島から東京に上京し、友達0の状態から3年で3000人以上の交友関係を築き、全ての業界に顔の効くコネクターとして活躍。著書に『出逢いの大学』『やる気の大学』(東洋経済新報社)『「キャリア未来地図」の描き方』(ダイヤモンド社)がある。2011~17年立教大学経営学部兼任講師。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
【資生堂の研究者】ファンデーションの研究開発の現場に密着
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT