セルジオ越後が、日本サッカーをなで斬り! 「誰が代表監督になっても、変わらない」

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――アギーレ監督が指揮を執った1月のアジアカップでも、ベスト8で敗退しました。

それも同じですね。日本はアジアカップで過去6大会中4度も優勝したわけだから、ベスト8敗退は結果責任が問われてしかるべき成績なのに、アギーレ監督をさっさとヨーロッパに帰し、本人がいないうちに八百長問題でクビを切りましたね。

「責任がない」と決めて、なぜ給料の自主返納をするのか

そして、日本サッカー協会の大仁邦彌会長が次期監督について「3月の試合には間に合わせたいと思う」と言う発言をしたことで、メディアや世間の目を「責任問題」から「次期監督」にすり替えたんです。

それだけではありません。U-19代表は4大会連続してU―20ワールドカップの出場を逃し、昨年はU―16代表もアジア予選で負けています。チーム強化について「原(博実専務理事)・霜田(正浩技術委員長)体制」になってから、ここまで結果が出ていないのに、なぜ、誰も責任を取らないのか。なぜ、それを求める声が挙がらないのか、僕は不思議でなりませんね。

――八百長に関わっていたかもしれない人物を監督に指名したという任命責任というより、結果に対する責任があるというわけですね。

それだけではなく、金銭面の責任もありますよ。大仁会長は「違約金はない」と言ったけれど、それが事実だとしても、コーチや通訳に対してはいくら補填したのか、アギーレ監督には高級マンションも与えていたわけで、金銭的な損失がゼロというわけではないはずでしょう。

2月半ばの理事会で、日本サッカー協会はアギーレ監督の解任問題について、大仁会長や原専務理事らを処分しないという決断を下しましたね。その代わりに、大仁会長は給料の50パーセント、原専務理事と霜田技術委員長は30パーセントを自主的に4カ月間返上することが決まった。これもおかしな話ですよ。

お咎めなし、なのに、本人たちは自主的に給料をカットするという。ちょっと意味がわかりませんよ。それで、ちょうど金銭的に補填できるということですかね(笑)。

――原専務理事(前技術委員長)と霜田技術委員長は、ヨーロッパや南米に飛び、ビッグクラブや代表チームを率いて欧州のトップリーグやワールドカップを戦ったことのある人物を日本代表監督として招くという流れを確立させてもいます。その点に関しては、評価できるのでは?

でも、そうして連れて来たザッケローニ監督も、アギーレ監督も結果を出せなかったでしょう。ハリルホジッチ監督も結果を出せるかどうか、まだわからない。目的は監督を連れてくることじゃなく、結果を出すことでしょ。逆に言えば、結果を出せるなら、日本人監督でもいいわけですよ。

そもそも、技術委員会はなぜ、ここまで外国人監督にこだわるのか。外国人監督は日本のサッカーや日本人のメンタリティを理解するのに時間が掛かるわけだから、デメリットだって決して少なくない。それに、自国開催じゃないW杯で唯一結果を出したのは、日本人の岡田監督ですよ。

「日本人監督は、W杯で日本代表を上位に導くレベルに達していない」、というのが彼らの言い分だろうけど、それを選ぶあなた方のレベルはどうなんですか、って僕は思う。

それなら、選ぶ側も外国人にすればいいし、リオデジャネイロ五輪を目指す代表チームの監督はなぜ、日本人なのか。アンダーカテゴリーの日本代表がことごとくアジア予選を突破できないんだから、そっちも外国人監督にすればいいのに……。その辺りのことをしっかりと説明してほしいものです。矛盾だらけですよ。

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