成長する人ほど「自分に厳しい人を大事している」 トップランナーへの取材でわかった成功の秘訣

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だからこそ、相手の持つ、いいところを見るのです。人間誰しも、いいところが必ずある。それを見つけようとする。そして、いいところを見つけたら、それをできるだけ見て、苦手だったり、気に入らないポイントには目をつぶる。

人間は、思っていることが顔に出てしまう生き物です。もし、苦手意識を持っていたら、その苦手オーラが知らず識らずのうちに相手に伝わってしまう可能性がある。 いいところを見ようとすることは、その苦手オーラを弱めることにもなるのです。その姿勢は、仕事以外でも生きてくるはずです。

例えば、自分の子どもの問題点ばかりを指摘してしまう親がいます。それでは、子どもは否定されたような気がしてしんどいでしょう。簡単ではありませんが、いいところも見つけて、しっかり褒めてあげる。子どもが自信をつけるうえでも大切です。

何十年も続く人気レギュラー番組を持っている著名なタレントに取材していて、なるほどなぁと思える意外な言葉をもらったことを今もよく覚えています。「自分に厳しくしてくれる人こそ、大事にしたほうがいい」。

とくに若い頃は、厳しいことを言ってくる先輩や上司は煙たい存在に映ります。どうして、こんなに口うるさく言われないといけないのか。どうして、こんなに細かいことにまで、口をはさんでくるのか。私も実際、そう感じていました。

一方で、そうでない先輩や上司もいます。ややこしい小言は言ってきたりしない。いつも笑顔でやさしく接してくれる。自分のことに理解を示して、励ましてくれる。果たしてどちらが本当のやさしさでしょうか。どちらが本当にいい先輩や上司でしょうか。一見すると後者に見えます。しかしそうではない、と彼女は断言したのです。

厳しくされるから、成長することができる

厳しいことを言ってくれるからこそ、自分は成長することができるわけです。甘い言葉ばかりの先輩や上司のもとでは、なかなか成長はできない。

間違いを指摘し、厳しく指導されることは、そのときは心地よいことではないでしょう。しかし、実はあとで困るのは自分です。もしかすると、抜け漏れが多くて、取引先からの信頼を失うかもしれない。なかなか仕事の成果が出せないかもしれない。すると一見、厳しく、やっかいだと思えた厳しい上司や先輩のほうが、実は愛情を持って接してくれた、やさしい先輩だったということになるのです。

実のところ、上司や先輩とて、部下や後輩に嫌われたくはないのです。小言を言って厳しくするよりも、やさしい言葉をかけていたほうがラクです。もとより叱ることは、本人にとってもツラいこと。打ちひしがれる部下や後輩を見たくはないのです。

それでも厳しく叱ってくれるのはなぜか。自分が嫌われてでも、こいつを成長させてやろう、恥をかかないようにしてやろうと思ってくれている、ということなのです。

むしろ注意をしなければならないのは、一見、やさしく見える先輩です。彼はそのほうが、部下や後輩から嫌われないことを知っているのかもしれないわけです。だから、部下や後輩の成長そっちのけで、自分だけいい顔をしている可能性もある。

それなのに、そういう甘い上司や先輩こそ、いい上司だ、先輩だ、と考えたらどうなるか。さらには、自分もそんな上司や先輩になってしまったら、どうなるか。

本当に愛情を持って、やさしさを持って接してくれている人はどちらなのか、真実を見なくてはいけません。それは、将来を大きく左右する可能性があるのです。

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