クラゲを食べる水族館!調理法も教えるワケ 世界一!加茂水族館の"3つの非常識"

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加茂水族館名物、クラゲがトッピングされたソフトクリームは、3種類から選べる

遠藤:休憩時間は、みなさん、どちらにいらっしゃるんですか。

村上:みんなが思い思いの時間に、事務室に自然と集まってくるようになっています。部署ごとに人が分かれると、気持ちも分かれしまって、一致団結できませんから。

遠藤:現場では「チームワーク」が大切だからこそ、それを生み出す工夫を「仕組みの面」でもいろいろしているわけですね。

村上:ええ。事務室にいれば、私だって電話当番のひとりです。

遠藤:それはすごい。組織のフラットさも含め、すべて意味があるんですね。チームワークを育むために適切な距離感や、共通の空間は、とても大事だと思います。

人生は掛け算、失敗を恐れない勇気がいる

村上:そもそも、私は落ちこぼれですよ。私の代わりに4月から館長になる副館長も、私よりはマシですけど、やっぱり勉強が苦手でした。しかし、クラゲの話になると、その知識と経験値は、もはや東大卒が圧倒されるレベルです。

遠藤:クラゲの話になると、副館長は話が止まりませんしね。

村上:彼を見ていると、「人間の価値は掛け算なんだなぁ」と思います。黙っていても給料がもらえるから言われたことだけやる、自分からいっさい動かない、挑戦しないのは、私に言わせれば「ゼロ」要因なのです。事なかれ主義のマイナス思考も「ゼロ」。

遠藤:「ゼロ」には何を掛けても、「ゼロ」ですよね。いくら能力やスキルが高くても、何かひとつ「ゼロ」要因があれば、結果として「ゼロ」になってしまう。

村上:逆に、「ゼロ」要因がない人は、失敗を恐れない勇気や情熱さえあれば、人生は掛け算だから、その価値を大きくすることができます。何事もやってみないとダメ。何かやってみれば、その後の景色は違って見えてきて、新たな道も見つかるはずです。

遠藤:村上館長の「世界一」への軌跡も、「掛け算」そのものです。あらためてお話を伺うと、その過程は大変そうですけど、現場の「イキイキ感」が伝わってきます。

(構成:荒川 龍、写真:梅谷秀司)

遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役

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えんどう いさお / Isao Endo

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。

2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。良品計画やSOMPOホールディングス等の社外取締役を務める。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)などべストセラー著書多数。

 

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