焦点は「首相の賞味期限」と「民主党政権の寿命」

焦点は「首相の賞味期限」と「民主党政権の寿命」

大地震発生から1週間が過ぎた。

被災地対策、原発問題、計画停電、超円高など菅政権の危機管理力が問われる問題が続出している。天災に見舞われ、国民は冷静に対応し、黙って推移を見守っているが、時間の経過とともに、政府批判が高まる可能性もある。

菅首相は大地震まで八方塞がりで綱渡りの政権運営を余儀なくされていたが、国民の間には、民主党政権誕生から1年半が過ぎて、政権交代そのものの成否を見極めなければ、という空気になりつつあった。

民主党は野党時代から政権担当能力の有無が絶えず議論になってきたが、政権交代が成功だったかどうかが問われる事態は、不安視されていた政権担当能力という問題がいまも大きな課題であることを示している。

政権担当能力の基本ファクターは政策構想力、政策実行力、政権運営力、それに危機管理力だ。

政策構想力は2009年総選挙のマニフェストの実効性が問われている。政策実行力ではマニフェストに掲げた各種の新政策の停滞とともに、政治主導や官邸機能強化、内閣一元化など、決定と実行のシステムの確立の遅れが致命的だ。政権運営力も、ねじれを招いた上、主流派偏重の片肺体制と内紛の激化で立ち往生という展開となる。

3点とも不合格と判定されそうになっていたとき、4番目の危機管理力が試されることになった。

16年前の阪神大震災のときの村山首相は、後に著書『村山富市が語る天命の五六一日』で「『危機管理体制に欠けていた』といかように責任を追及されても、弁明できない」と吐露している。それだけが原因ではないが、村山首相は衆参で絶対多数を持ちながら、1年後に辞任に追い込まれた。

「救国大連立」を唱える声が高まる中で、これから数カ月、首相の賞味期限だけでなく、民主党政権の寿命が尽きるかどうかが焦点となりそうな気配だ。

だが、それ以上に、いま情報公開と民意による政治を基本とする日本の民主主義の生命力が問われている。最終的に「救国」を実現するのはその力である。


塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数

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