ラオックス、爆買い狙った「怒濤出店」の勝算 総資産の倍以上の資金を調達、利益7倍目標

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訪日観光客向けに特化しているため、国内客を奪い合う他の家電量販店と違い、価格競争に巻き込まれることがない。家電製品を中心としつつ、好採算の日用品や高付加価値の日本製品も取りそろえていることも、収益を押し上げる。主な家電量販店と比べても、経常利益率やROE(自己資本利益率)といった収益性を測る指標で、高水準を誇る(表)。

3年後に利益7倍の目標

ラオックスは黒字化を果たした余勢を駆って、今年2月に中期経営計画を発表。最終年度に当たる2017年12月期の営業利益目標は、2014年12月期実績比7倍の120億円という、野心的なものだ。

今回の増資はそれを実現するための出店投資に充てる。3年間の投資予定総額は450億円。2014年度実績の3.6億円から大幅増額する。

首都圏や関西、九州、北海道などに11の大型店を出店。さらに、その周辺のアウトレット、ショッピングモールや空港、港などにも、中小型店舗を展開していく。

強気の戦略は、国策による後押しも大きい。政府は東京五輪開催を控える2020年には2000万人の訪日観光客を誘致するとしている。

2014年の訪日外国人数は1341万人と前年比29%増。うち訪日中国人に至っては、同83%増の241万人と急伸している(観光庁調べ)。政府のもくろみどおりに事が進めば、ラオックスはさらに来店客の増加が期待できる。

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