「仕事命」はもう古い オトコたちの人生革命

「仕事命」はもう古い オトコたちの人生革命

男は仕事、女は家庭という価値観から、男たちも解放され始めている。
(週刊東洋経済2月9日号より)

「育児と会社の仕事を両立させたい」--花王社員の野田健二さん(仮名・39)は、2007年夏、4人目の子どもが生まれたのを機に2カ月間の育児休暇を取得した。取得の動機は妻が3人目の妊娠中に体調を崩したこと。野田さんが上の2人を保育園に送迎するようになってから、育児への関心が強まり、4人目のときには育休を取得しようと固く決意した。

「赤ちゃんの面倒を見るのもいい経験になったが、上の子どもたちとの絆がより深まった」と、育休を振り返る。「自治体や企業の育児支援制度にも強い関心を持つようになった」という。

 同じトイレタリー業界では、P&Gジャパンでも男性の育休取得が浸透している。伊藤一治さん(34)もその1人。伊藤家は夫婦そろってP&G社員。04年に第1子が生まれると交代で育休を取得した。夫の伊藤さんも3カ月間の育休中は日中、子どもと2人きりで過ごす日々。

 以前は夜遅くまで残業することが多かったが、時間のやり繰りの大切さを痛感した。復帰後は毎日18時には仕事を切り上げ、家に帰るようになった。「仕事に優先順位をつけるなど、働き方が効率的になった」と、育休取得の効能を説く。06年12月には伊藤家に第2子が誕生。彼はまもなく2回目の育休に入る。

給料より時間が大事、派遣も主夫も「アリ」

 仕事以外の時間を増やしたいという男性は確実に増えている。自由な時間をひねりだすためなら、雇用形態をいとわないケースも現れた。
 
 東京都内の日用品メーカーで派遣社員として勤務する興津智紀さん(33)もその1人だ。「仕事ばかりに時間を取られたくない」という興津さんは、現在の勤務先から徒歩10分の場所で妻と暮らす。始業は朝8時と早いが残業はめったになく、18時には帰路に就く日々を送る。

 「給料は社会人1年目とほとんど変化なし」でも、興津さんに不満はない。就職活動は氷河期の真っただ中だった。最初に入社した会社では朝8時から夜10時過ぎまで働き、その後同僚と飲みに行くという毎日。入社3年目からは1人ではこなせないほどの仕事を任され、「このまま仕事を続けて将来はあるのか」と疑問を感じて退職した。その後、派遣会社に登録したが、外国で働く夢を捨てきれずにワーキングホリデーでカナダへ。帰国後、再び派遣社員として働き始めた。「将来、子どもが生まれたとき、このスタイルなら育児ができる。今は、余った時間を好きなことに使っている」と、幸せそうだ。

 専業主夫を選択する男性もいる。京都市に住む山田亮さん(40、写真)がそうだ。京都大学附属病院の看護部長で超多忙な妻に代わって、娘(6)の保育園の送迎はもちろん、掃除、洗濯、炊事など家事全般をこなす。「妻は根っからの仕事好き」(山田さん)という山田家は、完全に「逆転」夫婦だ。「僕は僕なりのワーク・ライフ・バランスが取れている。一度サラリーマン経験をしているから、時間を自由に使える専業主夫のありがたさを理解できる」と山田さんは言う。
 
 「男性はバリバリと仕事をするもの、女性は家を守って子どもを育てるもの」という「定説」が崩れることで救われるのは、実のところ、男性の側かもしれない。女性が働きやすくなれば、男性たちも自由になることができるのだから。
(週刊東洋経済編集部)

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