浅い後退か大不況か、世界経済の「最悪シナリオ」 23年は異変の大波が実体経済に押し寄せる番だ

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ベストシナリオは、金融引き締めが奏功し、高インフレが早めに沈静化するケースだ。この場合、利上げの停止や利下げ転換はそれだけ早まるから、景気後退の谷は浅くて済む。

具体的なインフレ想定は次のようなものだ。

景気後退に合わせて利下げに転じる見立て

2023年の世界経済を大きく左右するアメリカの消費者物価指数(CPI)の伸び率は住居費の上昇のピークアウトなどによって、足元の前年比7%台から2023年春以降は大きく減速。

一時的な経済のマイナス成長とともに年末にはFRB(米連邦準備制度理事会)が目標とする2%に接近していく(厳密にはFRBが参照するのはPCE価格指数)。

それに伴い、FRBは2023年春以降には利上げを停止し、年後半からは景気後退に合わせて利下げに転じるという見立てになっている。

先述のように、金融マーケットは金融政策や実体経済の予想を先取りして動くため、インフレの沈静化や利上げ停止が明確になった段階で、株価は本格的な回復に向かっているだろう。

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