一気に大緩和?中国・ゼロコロナ政策撤廃の現実 音楽家ファンキー末吉が経験した緩和直後のドタバタ劇

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「コロナは一度感染すると半年は感染しない」という医者の発言がネットで出回っている。もう、いったい何を信じていいのやらわからない。

銀川に戻ったが、私はまだ感染しているのかどうかはわからない。PCR検査を受ければ、もっといろんな面倒くさいことが起きるであろうから、怖くて受けられないのだ。

今ではPCR検査を受けなくても、この国で生きていける。省をまたぐ移動も何の障害もなくできる。このような無症状の感染者が平気で中国国内を自由に飛び回っているという事例はもっともっとたくさんあるのだ。

自分の身は自分で守る

それなのに、政府発表による中国のコロナ感染者の数は減っていく一方である。もう誰もPCR検査を受けないのに、いったい何を根拠にこの数字を出しているのか。そのうち中国政府はこう発表するかもしれない。

「わが国の偉大なるゼロコロナ政策は大成功を収め、ついにこの国ではひとりのコロナ患者もいなくなりました!」

上に政策あれば下に対策あり。この国の人民は、政府の発表に翻弄されながらもたくましく「自分の身は自分で守って」生きていくのだ。

銀川に着いたその日、政府は「行動アプリ」の撤廃を発表した。これまで、過去1週間(ちょっと前までは2週間だった)に行った都市の一覧が出るアプリだ。仲間内は大喜びで、このニュースを拡散した。

しかし、だからといって国民の行動の監視が緩まるわけではない。「コロナに関して」ということだけであることに間違いはなかろう。ゼロコロナ政策の緩和。まだまだ混乱は続きそうだが、このままうまく着地して収束してくれることを願うのみである。

ファンキー末吉 音楽家

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ふぁんきーすえよし / Funky Sueyoshi

1959年、香川県坂出市生まれ。1980〜90年代に爆風スランプのドラマーとして活躍。大ヒット曲「Runner」「リゾラバ」などの作曲者でもある。現在、日本と北京で音楽活動を精力的に続ける。著書に『中国ロックに捧げた半生』『日本の音楽が危ない~JASRACとの死闘2899日』『平壌6月9日高等中学校・軽音楽部北朝鮮ロック・プロジェクト』『大陸ロック漂流記―中国で大成功した男』『ファンキー末吉の10日で覚える「ひとこと」中国語会話』など。

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