産毛剃り禁止!「ナゾ校則」が日本にはびこる真因 千葉県の119校の校則を可視化する試みも

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「校則チェックや許可書類のやり取りが先生方の長時間労働の一因になっているのでしょうね。119校中81校も旅行を規制していることに驚くし、教師側が管理しやすい環境にするための校則が多いような気がします。

茶髪にしたり化粧したら、悪い人と付き合って非行に走るんじゃないか。近隣の住民からクレームが来ないよう、できるだけ規制を厳しくして問題を起こさせないようにしたいのかもしれません」(植山さん)

日本教育の歪みの象徴「ブラック校則」

3年前に定年退職した元教員の藤原明夫さんは「明治以来の上から締め付ける教育観がずっと変わっていないのが問題。ブラック校則は日本教育の歪みの象徴だと思います」と話す。

「旅行許可の申請は、出せとは言うけれど、出した生徒には学割を与えて終わり。男女で行こうが僕らは何も気にしなかった。そもそも校則は守られなかったし、あってないようなものでした」

ある学校の制服規定(画像提供:植山さん)

そう話す藤原さんによると、校則はそもそも「生徒心得」なので生徒が作らなくてはいけないのに、大人が作ってしまったのが問題だという。

「そこが間違いだった。本来は時代に応じて生徒が変えるべきです。生徒心得なのだから、自分たちで何を心得るか考えてもらえばいい。生徒会が合議制で決めて、職員会議にかけてもらえばいいのです」

これに対し、千葉の県立高校に通う現役高校生の息子がいる40代の女性は「今の子どもたちは、私たちのころ以上に先生に抑圧されている」と話す。息子の学校は「スマホ禁止」だが、調べる必要のある授業での「スマホ検索」はOK。だが、その必要のない時間にいじっていた生徒が教員からこう怒られた。

「次やったら殺す」

学校に相談窓口はあるものの、言われた生徒も目撃した息子もこのことを伝えなかったという。

「先生が怖いのではないでしょうか。上に私立高と県立高に通った兄たちがいますが、進学校だと理不尽な校則はなくて自由だし、先生も抑圧的じゃないよねと思う。偏差値が上の学校ほど自由で、下がると締め付けが厳しくなるという実感があります。要は、親や教師に子どもの意思でやらせるという大人の覚悟がないんです」(女性)

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