日経平均は2万円を超えたら暴落するのか 日本株は過熱気味?それとも適正水準?

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以上、代表的な4つの質問に対して簡単にお答えしたわけだが、補足すると、企業収益については、昨年より今年に入ってからの方が、1)安くなった円相場が輸出企業の収益を改善する効果、2)原油価格低迷のプラス寄与、3)今年4月の消費増税なしのベースアップによる個人消費押し上げ、といった3つの好材料が、大きく働きそうだ。

日経平均はジリジリと2万1000円へ

今後は、4月下旬から5月上旬にかけての決算発表で、企業収益(2014年度の実績値と2015年度の会社計画)の改善を株式市場が確認するまで、さしあたり2万1000円に向けての「つまらない」日経平均株価の上昇が続くだろう。

個人投資家の方々が大好きな「過熱感」により、時折の小反落は交えるかもしれない。だが今週に関しても、引き続き中期的な株価強含み基調の中にあると位置付けたい。今週の日経平均株価は、1万9300~1万9900円を予想する。

株価上昇基調を見込んでいる割に、慎重な見通しに見えるかもしれないが、3月27日(金)には配当落ちが予定されている。

配当落ちとは何か。株式を購入した場合、株券(今は電子化されて「券」はない)が受け渡されるのは、売買日を含めて4営業日目となる。すると3月26日(木)に株式を購入した投資家は、3月31日(火)に株券が手に入るので、3月末時点で株主となり、3月決算企業の配当金(や株主優待)を受け取る権利がある。

しかし3月27日(金)に株を買った投資家は、株券の入手が4月1日(水)となり、今3月期末の配当を受け取る権利がない。

3月26日(木)から3月27日(金)にかけて、権利の価値がなくなる分だけ、自動的に日経平均に押し下げ効果が働く。この押し下げ効果を「配当落ち」と呼ぶわけだ。

今回の配当落ちは100円強と見込まれており(配当金の額が正式に決定されるのは、6月頃の株主総会のため、現時点では配当の見込み額を用いざるを得ない)、それを上述の日経平均見通しに含めているとお考えいただきたい。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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