9年浪人し早稲田に合格した彼が得た自己肯定感 沢山の苦労があったからこそ前向きになれた

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浪人を決意する決定的となったのが、大学のサークル活動で、京都大学の学生たちと交流したときでした。私や私の周囲とは異なり、彼らは思慮深さや人間としての余裕を持っていて、「知性と人間性は相関がある」と考えるようになりました。

「彼らのような人間になりたい……」

京大の学生たちのように一流大学の学歴を手に入れれば、自信のない自分の性格も、いじめられ続けた自分の人生も何かが変わるかもしれない。その中でも、早稲田大学は地元の人間がみんな知ってるほど有名だし、もしこの大学に入れれば、周囲の人間に「すごい」と思われて見返せるだろう。そう思って、私は浪人生活を始めたのです。

しかし、ちゃんとした受験勉強を経てこなかった私の勉強方法は、非効率なものでした。

・語彙力を身に付けるため、国語辞典や英和辞典を丸暗記する。
・参考書を完璧に覚えれば点数が取れると思い、同じ参考書を1年かけて60周する。
・4年間数学の参考書をずっと眺める

「こんな勉強方法をする人は、絶対にいないだろう」と思った人は、そう思えるくらいには周囲にきちんとした指導者がいて、勉強をすることが当然の環境にいたのだということです。

私のように家族に大卒者がおらず偏差値40の高校を出ている情報弱者は、目的地までの最短距離が見えず、何もかも手探りで、暗中模索の中、一歩一歩前に進むしか、方法がなかったのです。

働きながら受験勉強を続ける

こうして始まった私の浪人生活は、苦難の連続でした。その中でもとくにきつかったのは、働きながら浪人をしていた5浪~7浪秋までの2年半です。

親のお金で最初の大学に行かせてもらった私は、さらに年額で100万円かかる予備校代を親に払ってもらうことができず、大学生を続けながら独学で受験勉強をしていました。

しかし仮面浪人では合格が望めるような学力には到達しなかったため、いったん通っていた大学を卒業して就職し、給料をもらいながら、夜に受験勉強をしつつゴールを目指すという選択を取りました。

その結果、逆に私にはつねに働きながらの受験勉強を余儀なくされるという、受験に集中できない環境がつきまとうようになったのです。

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