グローバルアジア、粉飾疑惑で上場は崖っ縁 内部管理見直しで過去の債務超過も発覚?

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ただ、追加報告書も含めればA4版で150ページにも及ぶ詳細な内容だけに、証券取引等監視委員会や警視庁組織犯罪対策三課など関係当局の注目を集めたのは確実だろう。第三者委員会の調査報告書の末尾には、「対象会社(=グローバルアジア)においては、過去に反社会的勢力との関係が疑わしいか、社会的にその属性に問題がある人物の関与が認められた」とまで記されていた。まさに“パンドラの箱”が開いてしまったのだ。

特設注意市場銘柄指定のリミットも迫る

今回疑惑が浮上した有価証券報告書の虚偽記載は、それ自体で自動的に上場廃止になるわけではない。ただ、「株式の上場を廃止しなければ、市場の秩序を維持することが困難な場合などには、上場廃止もありうる」(東京証券取引所の上場管理部)という。

実はグローバルアジアは旧プリンシバル時代の12年にも有価証券報告書等の虚偽記載が発覚しており、いわば今回は「再犯」に当たる可能性がある。東証の上場管理部では、個別企業のケースではなく一般論としながらも、「虚偽記載について審査を行う中では、2回目ということも踏まえて判断せざるをえない」と説明する。

当時は上場廃止に至らなかったものの、証券取引等監視委員会からは課徴金1200万円の納付命令を受けるとともに、当時ジャスダック市場のあった大阪証券取引所からは「特設注意市場銘柄」に指定されてしまった(その後、大証と東証が日本取引所グループに統合されたため、ジャスダック市場は現在、東証が管轄)。

この特設注意市場銘柄への指定が上場会社にとっては曲者(くせもの)といえる。指定から3年以内に「内部管理体制」の改善が認められなければ上場廃止となるためだ。12年6月に特設注意市場銘柄に指定されたグローバルアジアの場合、今年6月がその期限となる。昨年就任した現経営陣はまさに内部管理体制の改善を旗印に、過去の経営諸問題も含めて徹底的な洗い出しを行ってきたのだ。

「2期連続の債務超過」「有価証券報告書の虚偽記載」、そして「特設注意市場銘柄指定から3年の期限接近」――。上場廃止リスクが高まる中、グローバルアジアの取れる手段はきわめて限定的になってきたといえそうだ。

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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