「しゃべるアプリ」に見る次世代のドライブ体験 自動運転を見据えたアイシンの情報コンテンツ

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音声は実際に人が吹き込んだように自然に聞こえるが、AIによる合成音声だという。このため、季節や天気などに応じて複数のテキストを用意しておけば、いちいち人の声の収録をしなくても、状況に合わせてアナウンスを変えられる。

トンネルを抜けると、左手に冠雪の富士が姿を見せる。それが富士である説明はもちろん必要ないが、トンネルを抜ける手前で「まもなく見える」というアナウンスがあることで期待感が高まるし、富士市に入ると富士山の豊富な地下水が周囲に林立する製紙工場を支えていることなど、社会科の勉強になるような知識も教えてくれる。

音声コンテンツはこのスマホからスピーカーを通じて流れる(筆者撮影)

さらに、その富士山が見えている間、富士の伏流水を使ったミネラルウォーターの広告なども入ってきた。このシステムを運営するためにはスポンサーが必要だが、こうした高速道路の流れに合わせた広告は、気分よくドライブをしている状況とも相まって、自宅で聞く広告よりもわずらわしさが軽減され、富士の雄姿の効果もあってか購入意欲が高まるような気がした。

SAスタッフによるメニュー紹介も

車が間もなく駿河湾沼津SAに滑り込むというタイミングで、実際にSAで働くスタッフの音声で、食べてほしいグルメが紹介された。平板な自動音声に聞き慣れたあとに聞く、方言交じりのスタッフの肉声はとても新鮮に聞こえ、思わずSAに寄ってみたいと思わせる。

車はスマートICを使って下り線へと移り、帰路はそのほかの提供予定コンテンツのデモが行われた。アナウンスはいつも同じ内容だと飽きられるため、音楽フェスや大規模な祭礼など大型イベントが行われる際には、それに合わせた情報提供などを現地に着く前に行うといったもので、今回もそうしたイベントを想定したデモ音声なども流された。

往復1時間弱の体験会であったが、ドライバーへの情報提供という面から何ができるかという点で、多くのことを考えさせられた。今後、自動運転が普及していくと、ドライバーの多くは運転に集中するという義務と緊張から解放されるだろう。

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