それらの長い年月を経て、わたしたちは今、もう一度、自然の一部に戻ることを迫られている。持続可能な生き方がまた唯一の選択肢になった。
しかし現在の人類は何十億人もいる。狩猟採集生活に戻ることは不可能だろうし、そもそも戻りたいとも思わないだろう。
わたしたちは新しい持続可能な生活の仕方を見出す必要がある。つまり現代の世界に自然との調和を取り戻させる生活の仕方だ。
そうすることで初めて、人類が引き起こした生物多様性の喪失を、生物多様性の増大へと転じさせられる。それによって初めて、世界の再野生化が可能になり、地球の安定を回復させられる。
自然のため、自分たちのためにすべきこと
わたしたちはすでに、この持続可能な未来へと向かうためのコンパスを手に入れている。
地球の限界モデルは、わたしたちが正しい道をまっすぐ進めるようにするために考案されたものだ。それによれば、わたしたちは温室効果ガスの排出に歯止めをかけることで、気候変動をただちに抑制するとともに、できる限り逆転させなくてはならない。
肥料の過剰投与をやめなくてはならない。農地や、プランテーションや、開発用地への森林の土地利用の変化を抑制し、逆転させなくてはならない。
また地球の限界モデルはそのほかに、オゾン層や、淡水の利用や、化学物質汚染や、大気汚染や、海洋酸性化についても、注意深く監視しなくてはならないと告げている。
これらのことをすべて実行すれば、生物多様性の喪失はしだいに止まり、やがて増大に転じ始めるだろう。
言い換えるなら、自然界の回復につながるかどうかを判断の基準にして、どう行動するかを決める限り、道を間違えることはないということだ。
そのようにするのは自然のためばかりではなく、地球の安定は自然のおかげで保たれているのだから、自分たちのためでもある。
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