すごい向上心!タイの若者たちの日常と本音 盛り上がるアジアの若者消費(タイ編その3)

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高い日本人評価、人気職業はシェフ

6人の皆が口をそろえていたのが、日本人(観光客)の評価の高さでした。「中国人、韓国人の客は騒がしい。中国人はホテルビュッフェで態度が悪く、食べない分も皿に盛ってくる。日本人は食べない分は取らない」(ジョエル)、「日本人は清潔で規律正しい。子どもの行儀もよい。韓国人はちょっと気に入らないとすぐ怒る。タイ人を見下す。中国人は韓国人をもっとひどくした感じ」(サイ)と国別の比較で、日本人への好感を示す人が何人もいました。

外食文化が根付いている

一方で「中国人は商売上手でアクティブ」(アイス)という中国への好評価もありますが、ともあれ日本人の好感度が高いのは事実です。

また、日本人のサッカー選手も人気があります。タイのリーグでは何人もの日本人選手が活躍しているほか、独ボルシア・ドルトムント所属の香川真司や、伊ACミラン所属の本田圭佑の名前も挙がりました。これは「同じアジア人がヨーロッパリーグで活躍していることがうれしい」(ジョエル)というアジア人としての同胞意識によるもの。ゲム君はJリーグも押さえていて、2~3年前まではタイ国内のケーブルテレビで試合が放送されていたそうです。

タイ人の日本好きは、日本食の外食チェーンがはやっていることにも現れていますが、日本食にかぎらず、バンコクでは外食習慣が根付いています。家であまり食事をとらないのです。実際、キッチンのない単身者向け賃貸物件は少なくありません。理由としては、基本的に外食費が安いこと。そして専業主婦が少なく、子どものいる家庭であっても母親が働きに出ていたり、お店を営んでいることが珍しくない点が挙げられます(家政婦も安く雇えます)。

それが何を意味するかというと、自分で料理ができるというスキルが他国以上に重宝される、ニーズがあるということでしょう。それもあって、タイの若者の間ではシェフという職業に注目が集まっています。また、ホテルシェフはキャリアアップを狙いやすく、外国人と触れ合う機会も多いので、上昇志向のある若者が集まりやすいとも言えるでしょう。彼らが日々、肌で感じているタイの若者たちのエキサイティングな脈動は、今後、さまざまな形で発表していけると思いますので、ぜひご期待ください。

(構成:稲田豊史)

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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小祝 誉士夫 TNC代表取締役/プロデューサー

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こいわい よしお / Yoshio Koiwai

TNC代表取締役/プロデューサー。70カ国、200地域に長期滞在する500人の日本人女性がリサーチャーとして現地のライフスタイルやトレンドを詳細リポートするサービス「ライフスタイル・リサーチャー」を運営する。

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