阪急「京とれいん」、ダイヤ改正で定期運行終了 特別料金不要で優雅な旅気分味わえた観光列車

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2022年12月17日から実施されるダイヤ改正で快速特急Aの運行を取りやめる。ダイヤ改正の初日である17日は土曜日であり、京とれいんはダイヤ改正を前にして12月11日で運行終了となる。

6300系京とれいんは2019年に大規模な検査を受けているが、法令上では4年または走行距離60万kmを超えない範囲で検査を行うものとされている。京とれいんは感染症で運行を取りやめていた時期もあるほか、土休日のみの運行が基本となるために走行距離は少ない。

遅くとも2023年には次の大規模な検査を受ける必要があるが、ダイヤ改正から次の大規模な検査までの日数は少ない。次回の検査を受けずに引退となるのか、今後が注目されるところだ。

嵐山線で走るか?

今後、阪急では可動式ホーム柵の導入が進む予定だが、6300系では扉を寄せた設計があだとなり、可動式ホーム柵に備えた扉の位置と6300系のドアの位置が合わない。仮に京とれいんの検査を行ったとしても、阪急京都線で運行を継続することは難しくなるだろう。

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6300系に合わせて可動式ホーム柵を設計するアイデアもあるが、1編成しかない車両のために、可動式ホーム柵の設計を変えるのは割に合わない。なお、京とれいん雅洛は可動式ホーム柵に対応しているため、十三に停車する「快速特急」として引き続き運行される。

嵐山線では6300系が引き続き使用され、4両編成に短縮されたうえ、内装などのリニューアルが施された車両が走っている。ならば京とれいんも嵐山線で運行しては?と思うが、先の検査次第となるだろう。

京とれいんは内装を大きく改装した車両だけに、今回の定期運行終了が惜しまれる。

柴田 東吾 鉄道趣味ライター

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しばた とうご / Tougo Shibata

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR・私鉄路線は一通り踏破したが、2019年に沖縄モノレール「ゆいレール」が延伸して返上、現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。『Rail Magazine』(ネコ・パブリッシング)や『鉄道ジャーナル』など、寄稿多数。

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